Polkas on 45/WIRED AL YANKOVIC~ピエロが見せたシリアスな素顔
AL YANKOVICというと当然Eat Itを最初に思い出すだろう。
それ以外だとMADONNAのパロディや、シブいところではI Love Rockyroadあたりか。
わりとストレートにパロディするアーティストで、アメリカというお国柄なのか、大食いネタ、食べ物ネタが多い印象があるが、それだけで彼をシンプルに面白いことをやるおじさんと思ってはならない。
"Weird Al" Yankovic - Like A Surgeon
"Weird Al" Yankovic - I Love Rocky Road
それを教えてくれるのがこの一曲だ。
Weird Al - Polkas on 45 ( video medley )
ん……これ、一曲っていうのかな。
アコーディオン奏者としても知られる彼が、その得意の楽器を最大限活かすジャンルとしてポルカを選び、そして当時大ヒットしていたスターズ・オン・45プロジェクトがビッグバンドジャズをテーマにしたあのメドレーをパロディにして、ニューウェーブ系のロックを見事に換骨奪胎することで、しびれるような作品が誕生した。
それはまるで道化師が垣間見せたシリアスな表情のように印象に残る。
しかし彼はそのリアルも、陽気で明るいどこかおどけたアレンジの中に詰め込む、真のプロのピエロだった。
いろんな曲をポルカ調にアレンジしている彼だが、倍速早回しのようなアレンジが一番効いているのはメドレースタイルのこの曲だろう。
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Proudly Presents The Star Sisters/THE STAR SISTERS, STARS ON 45~記憶にないノスタルジー
オランダのヒットメドレープロジェクト、スターズ・オン・45の中でも1983年にシングルカットされたこの曲は、日本のMTVでもヘビーローテーションされた一曲。
Stars on 45 Proudly Presents The Star Sisters (Video)
ん……これ、一曲っていうのかな。
テクノだニューロマだ、ハードロックだヘビメタだとちょっと濃厚な曲、やりすぎた芝居したてのドラマチックPVがかかり続ける中、この曲はMTVの中の一服の清涼剤のような存在だったかもしれない。
ノスタルジーを感じさせるPVには、実際にその時代をリアルタイムで過ごしていない世代でも郷愁をそそられる、絶品。
それにしても舞台になっている大戦中のアメリカのイメージと、同時期の日本の違いはどうだろう。
閉鎖的な島国の国民が、アメリカが強くてかっこよかった時代に憧れを抱かなかったはずがない。
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Don't Let Go/WANG CHUNG~ありふれたクリップの中のアツさ
このクリップを見る限り、ワン・チャンのその後の成功はとても想像できない。
曲自体は佳作ではあるが、特に何の変哲もない演奏シーンに、至ってありふれたメロドラマが挿入されているだけだからだ。
この当時、実によくあるパータンのビデオで、ビッグ・カントリーなんかはほぼ永遠にこのパータンを繰り返していたものだ。
しかし、ワン・チャンのこのクリップの中で、ひとつだけ、あまたのバンドたちとの違いがあった。
それは、真面目さだ。
クールな楽曲なのに、演奏している三人の姿が異様にアツイ。
この曲のサビを聞くと、今でもなぜか縦に小さなジャンプを繰り返したくなる。
そんな刷り込みが徐々に彼らをチャートに浸透させていったのかもしれない。
ありふれたクリップだったからこそ、そのアツさは際立って感じられる。
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Favourite Shirts (Boy Meets Girl)/HAIRCUT100~シャーツの謎
NICK脱退後、案の定覇気のないオッサン臭いバンドになって、あっさりと消えてしまったHAIRCUT100。
So Tiredの気怠い感じにはそれなりのよさはあったんだけど。
Haircut 100 - Favourite Shirts (Boy Meets Girl)
しかし王子様がいないうえに、この頃の明るくラテンなノリとはまったく別物になってしまってはファンがついてこれなかったのは無理もない。
ギターのカッティングにブラスがからむ、ぐいぐい来る感じは本当にカッコいい。ルックスどうこうではなく、この曲は名曲だ。
ボウリング場で撮影したPVも時代を感じさせて、なかなかいいものがある。
特に最後のシーンでメンバーが縦一列に並んで進みながら演奏するシーンは秀逸。
決して派手ではないパフォーマンスなのに、なんとかっこいいことか。
それにしてもこの曲の「好き好きシャーツ」という邦題の「ー」はなんなんでしょうか。
本来「好き好き」って部分も気になるところなんだけど、そこを吹き飛ばす勢いの意味不明。
ペリカン・ウエスト [ ヘアカット100 ]
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Johnny Come Home/FINE YOUNG CANNIBALS~フレットレスなアクション
ザ・ビーツ解散後、明るいヤツらはジェネラル・パブリックで一般大衆に明るい自分たちを見せていた。
そして、その影のように現れたのが、ローランド・ギフトをボーカルに据えたファイン・ヤング・カニバルズだった。
その後、全米ナンバーワンヒットを生むことになるとは思えない、アンダーグラウンドな雰囲気漂う名曲が「ジョニー・カム・ホーム」である。
Fine Young Cannibals - Johnny Come Home
曲のテーマやニュアンスはどこか、オリジナル・ブロンスキ・ビートの「スモールタウンボーイ」を髣髴とさせる哀愁が漂う。
そして、できあがったクリップは鳥肌モノ。
鳩胸にひし形のパクパク口で鯉のようにうたうローランドのインパクトに目が釘付けになる。
そして、クリップの終盤、三人が一斉に膝をつくシーンのアクションは、カッコよすぎ。
クリップに金をかけなくてもここまでシビれる映像は撮れるのだ。
ついでに言っておくと、フレットレスのベースがやたらとカッコよく見える。
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Girl in Trouble/ROMEO VOID~二人のヒロイン
この曲のクリップの制作を依頼されたらどうするだろうか。
そんな監督の苦悩と工夫が、このクリップからは溢れ出してくる。
Romeo Void- Girl in Trouble (is a temporary thing) Mix
曲を聞かされた時点で、このなんともけだるくメロディアスな一曲は、監督の想像力かきたてたことだろう。
しかし、その曲を演奏するメンバーとの初対面。監督は凍りついたに違いない。
ネーナ、ベルリン、ユーリズミックス……楽曲だけでなく、クリップをも武器にしてチャートをにぎわす、紅一点バンドと対抗するにはこのままでは……。
紅一点のビジュアルがすべてではない、どんなにいいクリップを作っても楽曲が伴わなければ意味がない。
頭ではそう理解していたとしても、ダイエットする意志もなさそうな、デボラのルックスには苦しんだはずだ。
しかし、この「ガール・イン・トラブル」は楽曲のよさだけでなく、クリップも評価される作品に仕上がったのだ。
メンバーの姿を見せながらである。
では、いかにして。
それは、素晴らしい手法だった。
ヴォーカリストを壁画のようなスクリーンに閉じ込め、生物として動く、視聴者が感情移入しやすいヒロインを別に用意したのである。
しかも、スクリーンの中の彼女にも唇の動きを与えることで、ヒロインの役割を与えたのだ。
こうして、アーテイスティックな雰囲気のある楽曲にふさわしい、芸術の空気漂うクリップは完成した。
惜しむらくは、曲の二番の部分のフィルムではデボラを普通に動かせて歌わせ、視聴者に現実を現実として見せてしまったことだが、監督としてもそこはいっぱいいっぱいだっただろう。
それに、チャートで30数位くらいのヒット曲なら、このあたりはもっともオンエアそれないあたりだし、まあいいか。
Debora Iyall " A Girl in Trouble" (2009 San Francisco)
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★CD/インスティンクツ (輸入盤国内仕様)/ロメオ・ヴォイド/OTLCD-7389
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Break My Stride/MATTHEW WILDER~想い出のフワッフワ
MTV全盛のあの時代に、どんなヒットチャート番組でもアルバムのジャケットが映し出されていて不思議でしようがなかったけど、どうやらPV自体制作されていなかったのだと気づいたのはインターネット時代になってからだった。
Matthew Wilder - Break My Stride ( Full & HQ )
あまりにも意外で唐突なヒットで、PV制作する間もなくチャートに入ってしまっていたのではないかと推測。
とにかくなんともいえないフワフワした、人を食ったような奇妙な曲調で、あの時代にまったく即していない、いかにもこの人らしいファッションスタイルも相まって不思議な浮遊感を生み出している。
この曲のPVがなかった憂さを晴らすかのように、続くThe Kid's AmericanのPVはやたらと、国内のMTVで流されていたけど、まあフツウの曲だった。そのあとほとんど見なかったけど、Bouncin' Off The Wallsのほうが、この人らしい一癖はあったと思う。
Matthew Wilder - The Kid's American
Matthew Wilder - Bouncin' Off The Walls
いずれにしても正体不明の一発屋という感じだけ残してさっと消えた潔さのせいで、あの一瞬の時代との共生感が強く、80年代を振り返ったとき、次代にしがみついてイメージを破壊していった往生際の悪い誰かさんたちよりも、却って記憶の片隅から甦ってきやすいという、やはり不思議なフワフワした存在になっている。
I Don't Speak the Language / Bouncin Off the Walls
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2015>>
ちなみに表舞台からは姿を消したけど、制作サイドではむしろ大御所の一角といってもいいのかも。
ディズニーの「ムーラン」のサウンドトラックにプロデューサーとして参加したり、90年代の大物アーティストのプロデュースもしてたりします。
ディズニー・オン・クラシック 〜まほうの夜の音楽会 2016〜ライブ [ (ディズニー) ]
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