THIS IS VIDEO CLASH "RETURNS"--80年代洋楽PVの記録--

PVをメインに取り上げた80年代洋楽の記録です。2000年頃のアーカイヴをtumblrに移植したものをさらにこちらへ。新作も加えていきます。

Love's Great Adventure/ULTRAVOX~哀愁を隠したアドベンチャー

ミッジをフロントマンとして迎えたウルトラヴォックスのイメージは、哀愁や翳りという言葉をひとつのパブリックイメージとして表現できるだろう。

 


Ultravox - Hymn (EMI)

 

 

そんな中、ベストアルバムのボーナストラックとしてリリースされ、シングルにもなったこの曲は、余興のようなものだったのだろうか。

 


Ultravox - Love's Great Adventure.flv

 

 

冒険風ストーリー仕立てのまるでデュランなPV、曲調に哀愁のかけらもなく「あんたはOMDか」といいたくなるような身もふたもないエレポ。

 

 


The OMD (Orchestral Manoeuvres in the Dark) - ♦ ENOLA GAY ♦

 

 

PVの最後に全員でジャンプする姿なんて、ホントびっくりしました。

この頃マダムたちにモテモテだったミッジ先生の大立ち回りシーンには、なんかキュンときますね。
小柄な男がけんかに強いって、漫画みたいじゃないですか。

 

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Cool It Now/NEW EDITION~スーパーボーイズのシュールなヴォーカル

この曲、たわいもないポップスに聴こえるが、途中のラップパートなんか、素晴らしいクオリティだと思う。

 


New Edition - Cool It Now


PVもいかにもな青春ぽくて好印象。ストリートバスケのシーンなんかもいかにもアメリカン・ダウンタウンって感じがすごくいい。

 

しかしそんなすべての印象を根こそぎ持って行ってしまうのが、ボーカルの声。
なんとも声変わりしていない、そのシュールなハイトーンがすべて持って行ってしまうのだ。

 

ちなみにメインボーカルはラルフ・トレスヴァント。

 


Ralph Tresvant - Sensitivity


そしてボビー・ブラウン、ロニー・デヴォーとリッキー・ベルとマイケル・ビヴィンズ(Bell Biv DeVoe)と、超豪華メンバーの組み合わせだったと、今だからいえる。

 


Bobby Brown - Every Little Step

 


Bell Biv DeVoe - I'm Betta

 

Cool It Nowの頃が16、17といった年頃だから、まさにスーパーボーイズグループと呼ぶにふさわしい。

 

 

New Edition

New Edition

  • アーティスト:New Edition
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD
 

 


 

 


 

 

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Are We Ourselves/FIXX, THE~研ぎ澄まされた二分間

それにしてもこの頃のフィクスには無駄がない。

前作で全米進出に成功した彼らのサードアルバム「ファントムズ」からの最初のシングルカットがこの曲なわけだが、不愛想なまでに余計なものがそぎ落とされたPVに作られている。

 


MTV The Fixx Sneak Preview Video Promo (1984)

 

メンバーの着込んだ白と黒のつなぎのコントラスト。ロケーションはただひたすら、巨大なパラボラアンテナのある草原で、そこで演奏する彼らと走る彼らのカットが交互するだけ。たまに万華鏡のような映像効果が入るけど、ホントにそれだけ。

 

それにしてもサイ・カーニンの持つトランシーバーは、このだだっぴろい場所で、自分自身を問いかけるSOSの発信になんと向いた小道具なのだろう。

 

そしてこの曲のすごいところは、演奏時間の短さだ。

これだけの濃度がありながらもソリッドな印象を与えるのは、二分半にも満たないコンパクトな構成のせいだろう。

PVばかりか曲も研ぎ澄まされている。

 


The Fixx Are We Ourselves

 

ちなみにこの曲、国内シングルはリリース時「アー・ウィー・アワセルヴズ」だったタイトルが、いつの間にか「アーウィ・アーウィ」なんてタイトルに変更されるんですよね。まあわかりやすいけど。

ちょっと間抜けな感じに聞こえる気がしないでもない。

 

ただ邦題がキャッチコピーのようなものだとしたら、和訳せずにつけた邦題としては、“Is there something I should know?”→「プリーズ・テル・ミー・ナウ」と並ぶくらいの快作だと思います。

 

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Seven Seas/ECHO AND THE BUNNYMEN~仕方ない最大限の妥協

バニーメンはPVにそれほど力を入れたグループではなく、世間の風潮に合わせてとりあえずいわれたから作っといたみたいなものが多い、そういう価値観のグループだろう。
コテコテに芝居しまくったスパンダーとよく比較されていたのがなんだか懐かしい。

 


Echo and the Bunnymen - The Killing Moon (Official Music Video)

 

そんなバニーズも流行に乗らないわけにもいかず、キリング・ムーンあたりでなんとかそれっぽい感じに仕上げてごまかしてはみたものの、もっとPVっぽくやろうよ、というかんじの要望に最大限妥協したのが、たぶんこれではなかろうか。

 


Echo and the Bunnymen - Seven Seas (Official Music Video)

 

イアン、かわいいよね。

ウィルのワンレンふりふりとか、足ひれパタパタとか、バニーズなりに頑張ったんだと思うけど、この数年前にアジアでロケしてたデュランやスパンダー、カルチャー・クラブなんかと比べると、今頃になってやっと作ったPVが自主制作映画みたいなクオリティだったというのが、いかにも彼ららしい。

 

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The Model/BIG BLACK~イキまくる外壁破壊ツール

1980年代に入って、クラフトワークをカッコイイと公言しにくくなってきた頃、少し間をおいてカバー曲というジャンルで、クラフトワークの遺産からふたつの星が輝いた。

 


Afrika Bambaataa & Soul Sonic Force - Planet Rock [Rockamerica] (1982)

 

ひとつは82年の Planet Rock。
これについてはまたいつか語る日もあるかもしれない。

 


Big Black (Seattle 1987) [05]. The Model

 

そしてもうひとつは87年のThe Model。
そう、あの悪名高き、BIG BLACKのこいつだ。

 

まあまかり間違ってもお上品とか、オシャレとかいえない、スティーヴ先生の一撃だし、そもそも踊るためのアレンジでもなんでもなく、他人に聴いてほしかったのかも怪しいようなアレンジで、ただとにかく吐き出すためのツールというか、とにかく「聴く」ためのものではない作品なのだ。

 

思うに、これは作品でも音楽でもなく、ただとにかく表現したい誰かが、ただ思い切り自分がイキまくるために表現するための自慰ツールだ。

そしてその自慰行為をみんなに見てもらうために、みんなの知ってる有名な素材を、自分のパブリックイメージからなるべく遠く離れたテリトリから無理やり持ってきて、好きなようにいじり倒すことで目立とうとした、そんな気がするのだ。

 

当時の日本のチャートで例えるなら、白塗りに全裸のアングラ舞踊の劇団(特定の実在の集団をさしているわけではなくあくまで例としての表現です)が、BGMにガラスの十代をかけながら、誰も見ていない深夜の公園で踊ってる、みたいな。

 

だがこの選曲は素晴らしいと思う。響くような重低音、鉄骨をぶつけあうようなビートに、感情を押し殺してロボットを演じようとあがいた、原曲のイメージが壊されていく瞬間。

 


KRAFTWERK - THE MODEL

 


そして、しかしそれでも美しすぎるメロディは全壊されることなく、狂ったように美しく残骸の背骨が残されていくのだ。

 

外壁を破壊された原曲の芯が目立つことで、かえって、その美的でたしかな骨組みが再認識できる。そんなアレンジだ。

 

ノイズにおしゃれという概念を持ち込んだジーザス&メリーチェインとは対極的に、本来のノイズの不快感と、それなのにやみつきになる奇妙なバランスは、とにかく本人が絶頂に達し続けることで生み出されたのではないだろうか。

 

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DAVID AUSTIN デヴィッド・オースティン

「Love While You Can」には、恋してステップ! とかホントもうどうしていいかかわからなくなるような邦題がついてるけど、いい曲だ。

 


David Austin - Love While You Can

 

短い演奏時間の中でぎゅっと凝縮したキレイなメロディとここ一番のファルセット。
モータウンのコピーのような曲だけど、これをロンドンで白人のアーティストがやったことにすごく意味があるのではないだろうか。

 

ちなみにアルバム収録の際の邦題は「恋してステップ!」ではなくて、「胸いっぱいの恋」。

それはそれはどっちでもいいくらい、音の質とは関係ない邦題が二度もつけられていることからも、彼の日本での売り出され方が伝わってくる。

 

そもそもワム!の幼馴染という依存しまくった切り口からの売り出しでズッコけて収拾がつかなくなり、「エッジ・オブ・ヘヴン」のころにはワムのバックバンドのひとりというポジションになってしまったデヴィッド・オースティン。

 


Wham! - The Edge of Heaven

 

もともとジョージのワム以前の恋人……いやいや。
バンド仲間だったらしい。

 

日本ではミニアルバムが一枚でたけだが、本国ではアルバムすら出ていないだろう。

しかしあらためてそのミニアルバムを聴くと、曲は悪くない。
が、なんというかルックスが王子様すぎた。

 

案の定、日本でも売り出し方が「男前だからポスターつけとけ」みたいな方向に行ったのが惜しまれてならない。

 


David Austin - Turn to Gold (presented by George Michael)

 

そもそも「TURN TO GOLD」の邦題が「君にフラッシュハート」という時点で、

 

 

 

 

『こっちの頭がフラッシュハート』

 

 

 

 

です。

 

 

粗削りながらも確実に持っていたはずの才能と、ルックス重視で売り出そうとした日本のマーケットの大人の事情の差が大きすぎた気がする。

 

だが、本国ではWHAM!の存在がなければ色めがねをかけずに聴いてもらえたのではないかと思う反面、WHAM!がいなければデビューすらできたのかどうかすら怪しいし、ソロとしてコケたあとは、確実にもっと収拾つかなくなってただろうし、難しいところ。

 

結局それは本人の運と実力、このふたつの大切なパワーが、タイミングだのベクトルだの、何か大切な歯車が噛みあわなかったんだろう。

 

タイミングと運、このふたつは個々ではそれほどの力を持っておらず、何億分の一しかいないポップスターになるには、このふたつを中心に自分の人生の中で持っているあらゆる前進するためのファクターを、今こそそのときというばかりに一気に集中できることで生み出される、掛け算の効果が必要だ。

 そしてそのために、何よりも必要なのは本人の強い意志なのだ。

 

それなくしては、長い人生のうちに、自分の才能を小出しにして終わってしまう。

主導権を握り、みずからの才能をくり出す時期を、まさに今がそのときと見極められるかどうかは成功のための大切な要素で、そしてそれこそ成功した人が結果的に持っていた才能なのではなかろうか。

 

「TURN TO GOLD」の次のシングルがまったく方向性の違う「Love While You Can」というのも彼自身の戦略でもなんでもなく、本人に強い意志がなく、彼で一儲けをたくらんだ大人たちが主導権を握ってキュートな曲をプッシュしたことで起きた方向転換だとしか思えない。


この二曲ともどちらもすごくいい曲なのに傾向がバラバラで、こんなに方向性が違うと、一曲目を聴いていいなと思ったファンがついていけないのもやむをえまい。

いい曲を演っているのに。

 

自身がポップスターの入口に立って動き出した時にはすでに時遅く、彼を金脈と見た大人たちの世界にあらがえないまま振り回された。

そんな気がする。

 

だがそれも仕方ない。

学生時代の友人がポップスターになったおかげで、本人はそのついでに心の準備もないままに、突如舞台に上げられた、そこいらの青年でしかなかったのだから。

 

 

Turn To Gold - David Austin 7

Turn To Gold - David Austin 7" 45

 

 

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VISAGE ヴィサージ

フランキーがトレヴァー・ホーンの玩具だったように、スティーヴ・ストレンジはミッジ・ユーロの玩具だった。

 


Visage - Visage

 

しかし、この玩具には最初から意志があった。
それは、スノビズムという名の意志だったのだ。

 


Visage - Fade To Grey

 

ヴィサージの音楽、クリップ全編に漂うスノッブな雰囲気は、ミッジとスティーヴそれぞれが元々持っていたものだった。


ミッジはその哀愁漂うメロディの中に、どこか高貴なものを愛する姿を感じさせるし、スティーヴに至ってはステージ、プライヴェート、発言、すべてが何をとってもスノッブだった。

 


Visage - Mind Of A Toy HD

 


その二つが巧く組み合わさってヴィサージは完成し、MIND OF A TOYのクリップは生まれたのだ。

 

そして、音楽的な面での才能を持ち合わせなかったスティーヴは、ミッジの操り人形になることで、自らのスノビズムを最大限に表現した。

 

しかし、大人になったミッジ少年の欲しいものは、すでにトイではなくなっていた。


少年は大人になり、その手には玩具ではなく楽器が握られるようになった。
よりホンモノの音を求めた少年には、幼い頃遊んだ玩具の心はもう届かなかった。

 

結局、スティーヴって音楽的な何かは大して持ってなくて、のちのウルトラヴォックスのこのへんを聴いても、そこはミッジのものだったのは間違いない。

 

けど、ミッジの哀愁漂う音質とスティーヴの地下に咲いた妖花みたいな方向性がぴったり合って、ナイトクラビング、ニューロマンティックといった一心同体の夜の地下室のようなカルチャーが生まれて、時代の徒花として散って行ったんだろう。

 

 


visage - moon over moscow

 

 

時代の寵児ってスケールはともかく、しがみつくのか伝説になるのか選ばなくちゃならないときは来る、そういうものなのだ。

 

 


Visage - Beat Boy

 

 

ご存じのとおり、スティーヴがなりふり捨ててポップスターの世界にしがみついた結果は、「これじゃない感」に満ち満ちた「ビート・ボーイ」という残骸になった。

 

それはディーヴォの「シャウト」だって、クラフトワークの「エレクトリックカフェ」だって同じことだった。

 


DEVO - The Satisfied Mind

 


Kraftwerk - Electric Cafe

 

まだそんなことやってんの!?

 

みたいな二年前には時代の最先端だったものが、朽ちていく、そのスピードには驚かされた。

そもそも、スティーヴがしがみつくべきは、ミュージャンではなくてムーヴメントプランナーとしての才能だったということは歴史が教えてくれている。

 


Visage Mind Of A Toy Rockpop 1981

 


VISAGE... mind of a toy aplauso tve


結局スティーヴ・ストレンジがやりたかったのは、こういう「音楽劇」みたいな世界で、そしてそれは、10代の頃、俺がやりたかったことでもあった。

 

音を創れたミッジと違って、バブルがはじけたみたいに、ブームの終焉とともに忘れ去られたスターの一人だけど、彼の姿はどこか共感できるものがあるように感じて、胸に焼き付いている。

 

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