Somebody's Watching Me/Rockwell~時代の音じゃなかった俺様
Rockwell - Somebody's Watching Me
本人は、ファーストアルバムの「マイケル次は俺の番だ!」というド派手なキャッチコピーとともに登場し、セカンドアルバムの「俺が時代の音だ」というコピーとともに消えていくという、わかりやすい一発屋感をほとばしらせていたが、そもそもモータウンの御曹司かなんかだったので、別にどうでもよかったのだろう。
マイケル・ジャクソンのコーラスが美しい。
たったワンフレーズのリフレインだけど。
PVはサイコをベースにしたスリリングな寸劇仕立てで、ラストシーンのメイルマンの腕なんかはなかなかぞくっとさせられる。
ただ気になるのは、間奏のシーンで出てくる犬。
幻覚と重なるようにして犬が豚に代わるのだが、豚って何かのメタファなんだろうか。
日本人の感覚からすると、豚は恐怖より愛嬌を感じるし。
豚のミイラのように見えなくもないけど、やっぱり丸焼きに見えてしまう。
チャーシューが中華街から逃げてきたみたいな豚に怯える、ロックウェルの演技がなんだか滑稽なのだ。
Tenderness/GENERAL PUBLIC~優しさのかけらもないテンダレス
general public - tenderness (HQ-VIDEO-REMIX) (e-nertia's fade out edit) (182)
THE BEATのふたつの行く先。FINE YOUNG CANNIBALSのほうがはるかに名を残すことになるとは、思いもしなかった。
GENERAL PUBLICの持つ明るい黒っぽさは、何に負けたのだろう。
FINE YOUNG CANNIBALSは暗く重く、ときに切ないそんな音だった。
それに対してGENERAL PUBLICは辛辣な歌詞を載せた音が明るすぎたのかもしれない。
労働者の失業、階級社会、炭鉱スト。
そんな時代に能天気さのない明るさは求められていなかったのだろうか?
DAVIDの白人と思えない黒い声は人を惹きつける。
PVの浮かれた感じはいかにもあの頃のミュージックシーンが、聴かせることより見せることを重要視していたかがわかる貴重な資料なのかもしれない。
General Public - Tenderness - ( Buena Calidad ) HD
それにしても何でしょう、このPV。
Tendernessのかけらもない、シニカルな映像はいかにもイギリス的で面白いけど。今は児童ポルノ問題にひっかかりそうなフィルムでもありますね。
もちろん制作側には何の悪意もありませんが。
【メール便送料無料】General Public / All The Rage (輸入盤CD) (ジェネラル・パブリック)
|
I'd Wanna Know/REO SPEEDWAGON~逆らえない音楽の本質
REO Speedwagon "I Do' Wanna Know"
REOスピードワゴンと当時の自分の音楽世界というと、かなり意外がられるけど、まあ何もドゥルッテイ・コラムとか、オレンジジュースとか、ディス・モータル・コイルとか、コクトー・ツインズとか、そんなのしか聴いてなかったわけじゃない。
ヒットチャートは常に気にしていたし、ヒート・イズ・オンだって、ヒューマン・タッチだって聴いてたし、踊るリッツの夜とか、ロック・ミー・アマデウスだって好きだった。
とはいえ、REOスピードワゴンをしみじみいいなぁと思ったのは、この曲のPVありきだったかもしれない。
なんていうか、このお祭り感、すごくいいよね。音楽が小難しいものではなくて、楽しいものだと思い出させてくれる気がする。
ロマンティックスのときに書いたけど、イギリス(欧州)の音楽はブレインミュージック、アメリカの音楽はボディミュージック、そして自分は何も考えずに音楽を聴くことは意味がないと思う。
後者のように体さえ動いて汗をかけばいいというのは、音楽ではない。
そんなことを公言していたわりには、音楽の本質のひとつとして、楽しむことには本能では逆らえていなかったのだ。
【メール便送料無料】REO Speedwagon / Wheels Are Turnin' (輸入盤CD)(REOスピードワゴン)
|
REOスピードワゴンThe EssentialCD2枚組
|
Talking in Your Sleep/ROMANTICS, THE~バリバリのミラクル・オブ・ロケンロール
パンクロックが流行り、廃れ、そしてテクノポップがおしゃれで、ニューロマンティックのムーヴメントに酔う。
そんな時代を過ぎても、ロックンロールは生きていた。ある場所では時代が止まったかのように、音楽はロックだった。
それは“俺”の苦手なアメリカの一面だった。
イギリスはブレインミュージック、アメリカはボディミュージック。
考えることに価値を見つけていた、そのことに縋っていたあの頃の自分には、シンプルで体を使って表現するだけにしか思えない、This is Rock'n rollに漂う汗のにおいは邪魔でしかなかった。
The Romantics - Talking in Your Sleep
その中でも格別のアメリカ臭を漂わせていたロマンティックス。
そんなロマンティックスの奇跡の一撃がこの曲だった。
アルバム一枚聴いてもすべて同じ曲に聴こえる、田舎のカレッジロックバンドようなグループなのに、なぜかこの曲だけは都会の夜の妖しさを感じさせる、
まさにロマンティックな一曲になっている。青を基調にしたPVに、黒いつなぎをまとった彼らが見事にはまっている。
もちろんそれはこの曲だけの奇跡だった。
洗練されたこのPVもよく見れば、メンバーの髪型は時代錯誤なリーゼント。
The Romantics - One In A Million
The Romantics - Open Your Door American Bandstand
The Romantics # "Rock You up"(Original.1984 VHS)
案の定、次のシングルはいわゆるバリバリのロケンロールで、その次はもうシングルカットするにもどれでもいいような、同じ曲調のカードしか、彼らの手元には残されていなかった。
Under The Gun/FACE TO FACE~生々しい戦場を駆け抜けた一輪の花
魂とはどこにあるのだろう?
我々は何のために生きているのだろう?
そもそも命は守られているのだろうか?
このPVの見せる痛みはおそらく、第二次大戦やベトナムと無関係ではないだろう。
その生なましい現場に配置したLAURIEの美しいこと。
そしてライヴシーンの美しいこと。
始まりと終わりのドラムも映像的に素晴らしいし、このバンドの本来の田舎の大学生的な魅力とはまったく別の部分を掘り起こした、音のアーサー・ベイカー、映像の……誰なんだろう……素晴らしいと思う。
そして何よりも、その素材たり得た彼女彼ら、すごいと思う。
何かもっといい形で、長く続く形であればよりよかったのだけど、10-9-8とこの曲だけで輝いたからこそ、今でもカッコいいのかもしれないと思うとちょっと複雑な気にもなる。
Send Me An Angel/REAL LIFE~南半球に広がる夢幻の世界
YMOの影響は世界にどこまで広がっただろう。
パンクのあとに出てきた、ニューロマンティックに人は現実のきな臭さを忘れて酔った。
その中に当時のテクノと融合した一派があった。
DURAN DURAN、VISAGE、ULTRAVOX(要はMIDGE URE)、HUMAN LEAGUE……。
そんな中、オーストラリアからも明らかに、その影響を感じる曲が世界に響いた。
MEN AT WORKにもRICK SPRINGFIELDにもなかった、幻惑されるようなシンセの音と、もの悲しいようでいてロマンティックなメロディラインは、YMOとニューロマの見事な融合だった。
PVもそのフワフワしたどこか幻想的な曲調に合わせてうまく作られている。
サビのシンセドラムの音に合わせた、ハンドクラップのアクションも美しく決まっている。
Real Life - Catch Me I'm Falling
セカンドシングルにイメチェンを図ったのか、妙にポップで明るい曲を選んでしまったのが、悔やまれる。
この曲がビルボードのトップ10まで行ったのならともかく、そうでなかった以上あくまで足がかりとして、もう一曲、この路線で行ってほしかった。
Best of Real Life: Send Me An Angel
- アーティスト: Real Life
- 出版社/メーカー: Curb Records
- 発売日: 2001/05/15
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (1件) を見る