THIS IS VIDEO CLASH "RETURNS"--80年代洋楽PVの記録--

PVをメインに取り上げた80年代洋楽の記録です。2000年頃のアーカイヴをtumblrに移植したものをさらにこちらへ。新作も加えていきます。

Gambler/MADONNA~サントラが切り取った偉大な歌姫の一瞬


Madonna - Gambler

 

MADONNA が世界を代表する歌姫になって以降、ほぼ封印されているといってもいい一曲だが、あの頃の彼女の魅力をこんな伝えているPVはほかにないのではないだろうか。

 

その魅力の根源は、映画のサントラ用に作られた曲だったことにある。


ビジョン・クエスト 青春の賭け(字幕版) (プレビュー)

 

この曲は MAONNA のアルバム一枚を構成するために考え抜く必要もなければ、ボーダーラインをヒットさせ、ようやくスターとしての足場を固め始めたニューヒロインのために万全を期す必要もなかった、ただこの一曲だけに当時の彼女のパブリックイメージを詰め込めばよかったのだから。

 

そこに展開されたのはあくまでヤンチャなダウンウタンの歌姫の姿だ。
衣装や雰囲気含めて、デビューの頃の彼女の歌と踊りの魅力がここまで堪能できるPVはほかに残ってない。

 

その瞬間輝く MADONNA という存在を、ある意味で無理やり切り取ることが出来たのは映画というイベトンあってこそだった。


無理もない。

あの当時 MADONNA がここまでの大スターになるのかどうかは誰にもわからなかった。


だからこそ、その瞬間の彼女の魅力を伝えることに必死になった。

それがこのPVだ。
これこそあの頃のサントラブームが切り取った、偉大な歌姫の生涯の一幕だ。

 

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Dancing In The Dark/KIM WILDE~暗闇を抜け出した初恋の君へ


Kim Wilde - Dancing In the Dark

 

KIM WILDE を初めて見たのはテレビのCМだった。


Kim Wilde Bitter is better Japan commercial

まだ洋楽の何たるかを知らなかった幼い僕は、彼女がブラウン管の中に持ち込んだ外国の香りにほんのりとした苦みとつきぬけるような高い声に憧れを抱いたのだ。

 

そして自分がもう少しだけ大人になったとき、最初に探したの彼女の名前だった。
そして見つけた彼女は不思議な立ち位置にいた。

 

次々と女性シンガーがブレイクしていく中、微妙に迷走しているような彼女の姿は、幼い日の記憶に痛みを残した。


Madonna - Like A Virgin

 


Cyndi Lauper - Girls Just Want To Have Fun (Official Video)

 


Nena - 99 Luftballons

 

何か違うなと思いつつも、僕たちは暗闇に踊る彼女を応援した。

だが世間が暗闇で踊ったパートナーは彼女ではなかった。

 


Bruce Springsteen - Dancing In the Dark

 

二度目の迷走。


Kim Wilde - The Second Time (Go For It)

 

そして跳躍。


Kim Wilde - You Keep Me Hangin' On

 

飛び跳ねた彼女は僕の好きな彼女ではなくなっていた。

だけどそこから時を経て、僕がようやく痛みを想い出に昇華したころ。
彼女は美しい姿で僕たちの前に帰ってきた。

 


Nena And Kim Wilde - Anyplace Anywhere Anytime (2002) (HD)

 

それは僕の好きだった彼女が大人になって、自分の世界をようやく確立した安定と安心の姿だった。


もう僕は迷わない。
だからあなたも、二度と迷わないで。

暗闇を抜け出した初恋の君へ。

 


 

 

 

愛の彷徨〜シングル・コレクション 1981〜1993

You Can Do Magic/AMERICA~君にもできる時をさかのぼる魔法


You Can Do Magic - America (HQ/1080p)

 

ケント・デリカットは歌も歌ってたのか!?」


ケントデリカットの現在に驚き!職業が意外だった…

 

そんなジョークも懐かしいPVは、ニューロマンティック方向からやってきて当時のビルボードを席巻したイギリス系ミュージシャンの派手なドラマ仕立ての中にあって、よくぞこれだけオンエアされたものだと思う。

 

そこにあるのは何よりも曲のよさだ。
切なさと美しさに包まれたこのメロディには、余分な装飾など必要ないのだ。

 

とはいえオープニングに挿し込まれるブラックバックの中を舞う、白い手袋のマジャシンの手は視覚的にこのPVが単なるライヴフィルムにとどまらない世界観を築いている。

間奏とエンディングに入るクロースアップマジックも、Aとジョーカーを引いて見せるなんてちょっと気が利いている。


ただ映像の古くささといい、現代の超一流マジシャンの手元に見慣れた目には、たどたどしく見えてしまうあたりはご愛敬。

「風のマジック」という邦題もなんだか今となっては懐かしい。

 

メンバーのファッションも含めて、全体にこれが本当に DURAN DURNA や CULTURE CLUB と同じ時代の作品なのか!? と思わせるレトロ感が今となっては逆にいい味を出している。
それもこの切ないメロディあってこその効果だろう。

 

時をさかのぼることのできる魔法。
それがこの曲の Magic だ。
きっと君にもできる。

 

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Election Day/ARCADIA~分裂の光と闇


Arcadia - Election Day (Original Video)

 

DURAN DURAN のメンバーがふたつに分かれてそれぞれプロジェクト活動をした時代があった。

THE POWER STATION に関しては今や説明の必要もないだろう。

 


The Power Station - Some Like It Hot

 

この曲のヒットはヴォーカルで参加した ROBERT PALMER を、こののち全米トップにまで押し上げた。

 


Robert Palmer - Addicted To Love


もともとギターばりばりの ANDY はともかく JOHN もこれほど、ロックなアプローチのできるミュージシャンだったというのには驚かされた。

 

一方 ARCADIA のメンバーは SIMON と NICK と ROGER の三人。
わかりやすくいうと THE POWER STATION 結成で DURAN DURNA の活動が止まってしまい、時間をもて余した三人だった。

 

それでも人気絶頂のころだから、こちらも当時のチャートリアクションは上々。
両者ともにうまくいった課外活動という感じだ。

 

しかし時を経て今になってみると THE POWER STATION は語り継がれる存在となったが ARCADIA はすっかり記憶の隅に追いやられている。

 

皮の衣装に身を包み、新しい仲間の刺激を得てハードな演奏シーンでいつもとは違う顔を見せた THE POWER STATION に対して、仕方なく組んだユニット感のあった ARCADIA は DURNA の縮小再生産のような存在になってしまったやむを得ない。

 

ロック小僧 ANDY と寡黙な JOHN の組み合わせに比べて、ナイトクラブのチャラチャラした印象をぬぐえない二人が、オネエチャンをはべらしたPVを作ってしまってはやむを得ないところか。

 

だがいまあらためて聴いてみると、この曲の粘りつくようなリズムや気怠い空気感は、ソリッドで哀愁を帯びた曲調がヒットを呼んだ DURNA とは明らかに別物だと思う。

 


Arcadia (Duran Duran)-Election Day (Long Video) HQ

 

五人の音とはきっちりと線を引いた別の魅力を備えているではないか。

敗因は明確な別路線に進んだ二人と違い、本家に近いジャンルで勝負せざるを得なかったこと。
しかしそれはキーボーディストの NICK が音の主導権を握らざるを得なかったのだから、仕方のないところだろう。

 

それにしても RODGER は本当にこのユニットをやりたかったのだろうか。
PVにも出てこないし、退屈したやんちゃな二人に、なんだか仕方なく付き合った感じがするところが、人のよさを感じさせてほほえましくもある。

 

 

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Back Where You Belong/38SPECIAL~誰にも秘密にしたかった青春の踏絵

青春時代には青く屈折した時期ならではの美学がある。

 


38 Special - Back Where You Belong

VISAGE の造られたステージに酔い、ULTRAVOX の哀愁漂う切ないメロディに酔い、SPANDAU BALLETの大掛かりな貴族コスプレに酔い、 DURAN DURANのおしゃれな空気に酔った僕たちにとって、ひげ面のむさくるしい男どもが奏でるストレートでなんの奇もてらわないストレートなアメリカンロックは、ある意味で音楽の中の恥ずかしい部分だった。

 

この曲を好きだということは、見せてはいけない自分の秘密。
心の中でふといい曲だなと思っても、このPVを見ながら口ずさむ姿も、レコードラックに並んだ彼らのアルバムも音楽仲間には見られてはならなかった。

 

だけどドジな刑事集団に扮したメンバーと、目を見張るような美人の犯人の追いかけっこは見ていてほほえましい。
いかにもな感じののほほんとした曲調に、過激なシーンのない刑事ドラマ仕立てのPVがよく合っているのだ。

 

二番の肉の貯蔵庫のシーンでのシャドウボクシングに、エンディングの地下鉄のシーン。
ちょっとした小ネタまでいとおしく感じる。
今聴くとどこかノスタルジックに感じるメロディも魅力的だ。

 

38SPECIALの当時の曲はどれもあか抜けない邦題がついていて、これも「想いは果てしなく」という名でリリースされている。
今になって曲を探そうとすると、邦盤アルバムはどれも似たような雰囲気のタイトルが並んでいて判別しにくいことこのうえない。


なんというか、「想いは果てしなく」とか、「愛は消えても」とか、今になるとなんだか優しい気持ちになるタイトルなのだけど、こういうセンスもとがっていた青春時代には避けて通りたいある種の踏絵だった。

 

 

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Touch/BERLIN~80年代を代表するエレポライブ


Berlin - Touch (sound remastered)

 

小悪魔のようなTerry Nunn。
その魅力はこの頃、PVでもライブでも全開で発揮されていた。

 

歌詞を聴くとホント演歌やフォークのような世界だが、BERLINの演奏、メロディ、そしてTerryのアクションが加わると、素晴らしくカッコいい作品になる。

 

この曲はシングルカットされなかったが、間違いなくBERLINを代表するナンバー。

 

このフィルムは80年代前半に開催された、今でいうロックフェスの屋内版で、実にいろんなアーティストが登場したが、中でもとりわけカッコよかった演奏のひとつがこのBERLINだった。

 

動きが見られることを計算しつくして演出されていて、そこに盛り上がるオーディエンスの雰囲気に合わせて自然と発生するアドリブの動きが重なって、魅力は無限に広がっていく。

 

Love Life

Love Life

 

 

 

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This Is Not America/DAVID BOWIE, PAT METHENY~語られることの少ない哀愁

BOWIEの80年代の仕事の中でも異色のコラボがこの曲だろう。

 


Pat Metheny Group feat. David Bowie - This Is Not America


映画「The Falcon and the Snowman」の主題歌を歌うのに、タッグを組んだ相手はジャズギタリストのPat Metheny

 

切なく熟れたメロディ、ボウイの低音とファルセットがその魅力を最大限に引き出した切なく美しい一曲だ。

 

PVは映画のシーンの組み合わせで作られていて、舞台となっている70年代のアメリカの様子が、重く切ない音に載せた哀愁漂うヴォーカルとともに流れていく佳作。
それぞれのオーディエンスは空を飛ぶ一羽の鳥の両翼に何を重ねて見るだろう。

 

単発のサントラ用コラボ作品とあって、BOWIEの中では語られることの少ない一曲だけど、間違いなく名曲。

 

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