RELAX / FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD(STADIO LIVE)~セックスよりも刺激的な欺瞞~
「リラックスしてごらん、咥えてほしい時は」
「リラックスしてごらん、イキたい時は」
たしかに歌詞は刺激的だが、「come」にそんな意味があると知らなかった自分にとって、この曲の歌詞に刺激を受けた記憶はない。
むしろ、刺激的だったのはこのクリップである。
Frankie Goes To Hollywood - Relax (Laser Version)
この曲のクリップの中では、もっとも地味なバージョンがこのスタジオライヴのものなのだが、その反面、このクリップが一番心に残っている人は多いだろう。
私もその一人である。
同時期に流れたのはゲイバーで撮影されたバージョンなのだが、そちらは演奏シーンは一切なく、この曲のテーマである「セックス」を表現したエンタテイメント作品であった。
Frankie Goes To Hollywood - Relax (Restored Version)
しかし、その「セックス」よりも刺激的なスタジオライヴがここにある。
なにが刺激的だったのか。
それは多分、このクリップを知るすべての人が声をそろえるはずだ。
ベースである。
そのチョッパーとも一味違う謎のアクション。
それがこの退屈な演奏に、著しい刺激をプラスしているのだ。
全編にわたって、右から左から、行ったり来たりするその右手の激しい動き。
演奏していないのがまるわかりのオーバーアクション。
Aメロのベースラインはどう聴いても、開放弦を「ボン、ボン、ボン、ボン」と鳴らしているだけなのに、なぜか左手はフレットを動いている。
そう、ベースは楽器ではない。
ベースとは視覚を釘付けるアクセサリであり、ファッションのための武器なのだ。
このアクションを考えたのが、トレヴァー・ホーンではなく、もし、ベーシストのマーク・オトゥールだとしたら、その才能が開花することがなかったことを惜しまなくてはならない。
Frankie Goes To Hollywood Relax (1984)
ウェルカム・トゥ・ザ・プレジャードーム(デラックス・エディション) [ フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド ]
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