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THIS IS VIDEO CLASH "RETURNS"--80年代洋楽PVの記録--

PVをメインに取り上げた80年代洋楽の記録です。2000年頃のアーカイヴをtumblrに移植したものをさらにこちらへ。

ティアーズ・フォー・フィアーズ TEARS FOR FEARS

恐れのために流す涙。繊細で、ガラスのような心の中に秘めた涙は、いつ流れ出すのだろう。
そんな、ギリギリのところにティアーズ・フォー・フィアーズがいた。

 


Mad World by Tears For Fears Original HQ 1983


ファーストアルバム「ザ・ハーティング」からシングルカットされた「マッド・ワールド(邦題:狂気の世界)」、「チェンジ」、「ペイル・シェルター」、そのいずれも、壊れそうなくらいに透き通ったヴォーカルの繰り広げる世界が、聴くものの心を魅了した。

 


Tears For Fears - Change


その音は、傷つきやすい心に共鳴するような青い魅力を放っていた。

 


Tears for Fears - Pale Shelter

 

しかし、その方向性は大きく変貌した。
セカンドアルバム「ソングス・フロム・ビッグ・チェアー」から流れる曲は、メロディよりもむしろリズムを重視したようなヘビーで、下腹部に力強く訴える楽曲だったのだ。

日本でもCMソングとしてヒットした「シャウト」。

 


Tears For Fears - Shout


ファーストの繊細な世界を構築したカートの、透明感溢れるヴォーカルを引き継いでいるのに、繊細さのかけらもなく重厚な「エブリバディ・ウォンツ・トゥ・ルール・ザ・ワールド」。

 


Tears For Fears - Everybody Wants To Rule The World


そして、メロディのすべてを取り払ったかのように心臓を叩くようなビートだけが響く、「マザーズ・トーク」。

 


TEARS FOR FEARS Mothers Talk Version 1 (ORIGINAL) HQ


この曲たちを聴いたとき彼らはもう、恐れるものも、そのために流す涙もなくしたのだと思った。
ティアーズ・フォー・フィアーズは終わった……そう思った。

 

しかし、ここからが、彼らの世界へのスタートだった。


ティアーズ・フォー・フィアーズは、自らの心の痛みを取り払ったそのときに、涙を捨てたそのときに、世界へのチケットを手にしたのだ。
結局、置いていかれたのは、自らの青春時代の心の痛みを忘れることのできない、青く育ちそこねた発育不良の聴衆だけだったのだ。