VISAGE ヴィサージ
フランキーがトレヴァー・ホーンの玩具だったように、スティーヴ・ストレンジはミッジ・ユーロの玩具だった。
しかし、この玩具には最初から意志があった。
それは、スノビズムという名の意志だったのだ。
ヴィサージの音楽、クリップ全編に漂うスノッブな雰囲気は、ミッジとスティーヴそれぞれが元々持っていたものだった。
ミッジはその哀愁漂うメロディの中に、どこか高貴なものを愛する姿を感じさせるし、スティーヴに至ってはステージ、プライヴェート、発言、すべてが何をとってもスノッブだった。
その二つが巧く組み合わさってヴィサージは完成し、MIND OF A TOYのクリップは生まれたのだ。
そして、音楽的な面での才能を持ち合わせなかったスティーヴは、ミッジの操り人形になることで、自らのスノビズムを最大限に表現した。
しかし、大人になったミッジ少年の欲しいものは、すでにトイではなくなっていた。
少年は大人になり、その手には玩具ではなく楽器が握られるようになった。
よりホンモノの音を求めた少年には、幼い頃遊んだ玩具の心はもう届かなかった。
結局、スティーヴって音楽的な何かは大して持ってなくて、のちのウルトラヴォックスのこのへんを聴いても、そこはミッジのものだったのは間違いない。
けど、ミッジの哀愁漂う音質とスティーヴの地下に咲いた妖花みたいな方向性がぴったり合って、ナイトクラビング、ニューロマンティックといった一心同体の夜の地下室のようなカルチャーが生まれて、時代の徒花として散って行ったんだろう。
時代の寵児ってスケールはともかく、しがみつくのか伝説になるのか選ばなくちゃならないときは来る、そういうものなのだ。
ご存じのとおり、スティーヴがなりふり捨ててポップスターの世界にしがみついた結果は、「これじゃない感」に満ち満ちた「ビート・ボーイ」という残骸になった。
それはディーヴォの「シャウト」だって、クラフトワークの「エレクトリックカフェ」だって同じことだった。
まだそんなことやってんの!?
みたいな二年前には時代の最先端だったものが、朽ちていく、そのスピードには驚かされた。
そもそも、スティーヴがしがみつくべきは、ミュージャンではなくてムーヴメントプランナーとしての才能だったということは歴史が教えてくれている。
Visage Mind Of A Toy Rockpop 1981
VISAGE... mind of a toy aplauso tve
結局スティーヴ・ストレンジがやりたかったのは、こういう「音楽劇」みたいな世界で、そしてそれは、10代の頃、俺がやりたかったことでもあった。
音を創れたミッジと違って、バブルがはじけたみたいに、ブームの終焉とともに忘れ去られたスターの一人だけど、彼の姿はどこか共感できるものがあるように感じて、胸に焼き付いている。
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