Irgendwie Irgendwo Irgendwann/NENA~消費されたボーカリスト(それは美しすぎたから)
テレビの前の日本の青少年のド肝を抜き、一部のマニアを狂喜乱舞させた腋毛騒動も落ち着いたころ、ひっそりとリリースされた、ネーナ・ケルナーをフロントに据えた、バンドとしてのNENAの佳作。
Nena - Irgendwie Irgendwo Irgendwann (Original 1984)
メロディアスで、どうも安っぽさが抜けないものの、そこが逆に小難しくなってなくて、いい曲だ。
さすがにドイツ語のタイトルはちょっと日本ではどうしていいのかもてあましてしまったようで、「未来へのスパークル」なんていうまったく関係ないというかなんというか、そんな邦題がついていたが、それはもう仕方ない、すべて当時のイメージ仕立てのPVのせいなんだろう。
そのころ日本のMTVでも流されたPVは、なんというか、オープニングでマイケル・ジャクサンの集団ダンス、あるのかないのかわからない本筋はPV界のインディ・ジョーンズことデュラン・デュラン、ロケーションはスパンダー・バレエみたいな当時のビルボード向けにわざわざ作った、無駄金を使った悪例みたいな一作になってしまっていた。
まあ、ルフトバルーンの貯金も唸ってた頃だろうし、しようがないといえばしょうがない。
それに当時の世界、特に日本の消費する側は、ネーナをバンドではなく、ヴォーカルの彼女一人にフォーカスを当てた個人ネーナとして、プロデュースしたくてしようがない連中が実権を握っていたようで、そこにものいいたいからだ。
ネーナ・ケルナーの魅力は、腋毛はさておき理解できた。
しかし、それを壮大なふりをして、その実はしょぼいB級アドベンチャーに仕立てたPVのヒロインにしてしまって、それが本当に魅力だったのかは疑問符だらけだ。
どうしてこんなに辛口なのかというと、当時ビルボード経由で洋楽を輸入していた日本ではおそらく一度も流れていないと思うのだが、今回紹介したこんなオリジナルPVがあったらしいことを最近知ったからだ。
ネーナ・ケルナーというヴォーカリスト、女性の魅力も、その彼女をヴォーカルに据えたバンドの魅力も、このほうがはるかに伝わってくるじゃないか。
Nena ft Kim Wilde - Anyplace Anywhere Anytime (Irgendwie, Irgendwo, Irgendwann)HD
ちなみにこの曲は20年近い時を経て、まさかのキム・ワイルドとのデュエット曲として再リリースされている。
洋楽の何たるかも知らなかった頃に、和製洋楽のBitter Is Betterで我々を虜にしたあのキムだ。
Kim Wilde Bitter is better Japan commercial
House Of Salomeに酔い、Dancing In The Darkで“ボス”に「かぶってる!」と憤慨し、Singing It Out For Love Againに涙して、Second Timeでもしかしてこれでチャートに復活するのか! と期待したけど、結局僕たちの前にキムが帰ってきたのは、安っぽいユーロビートとともにだったけど。
Kim Wilde - Dancing In the Dark
キム・ワイルドについてはまた別の機会に。
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