We Are Ninja/FRANK CHICKENS~イカ天前。世界に認められたエンターテインメント
オーバーナイト・サクセス。
シンデレラストーリー。
一夜明けたら――。
いつの時代にも夢のような出来事は起こる。
そんな中でも、80年代最高の摩訶不思議なセンセーション、FRANK CHICKENS。
いっちしまえば誰でもよかったのかもしれない。
東洋人で、不思議な英語を操って、聴いたとのないオリエンタルな旋律を――奏でるのかと思ったら、歌って騒ぐ。
ミュージシャンというカテゴリではなく、パフォーマンス集団であり、そしてイロモノであった。
ただ彼女たちの偉大なところは、バナナラマと競うつもりもシュープリームスになるつもりもなかったことだろう。
楽しくやって、それが受ければもっと楽しいことをする。
イギリスに住んだからといって、英国人になろうとはしない。日本人のままで、日本のものも取り入れる。
音楽家ではないというようなことをいってしまったが、彼女たちがメインの曲に取り入れる、日本の音楽のカバーのセンスは素晴らしい。おてもやん、美しき天然、お富さん。
Frank Chickens Shellfish Bamboo
日本人なら誰でも知っていて、けどこの頃ミュージシャンを名乗った日本人が決して選ばない曲。
このセンスは、YMO、スネークマンショーの系譜といってもいいのではないか。
「スネークマンショー」-「咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3」
国外進出しようとした日本のミュージシャンが跳ね返された壁を、彼女たちなら日本のチャートを下地にしていても、超えられたのではないかとすら思えてくる。
ただ、日本のチャートで彼女たちがどんな扱いを受けたかを考えると、そもそもその下地がなかったといわざるを得ないのだが。
Frank Chickens - We Are Frank Chickens (1984)
お笑いの要素をメジャーチャートのヒット曲として受け入れる器が、日本の音楽ファンにできるのは、90年代のバンドブーム特にイカ天以降ということになるからだ。
コミックソングなんてジャンル、日本だけのくくりなのかもしれない。
結局考えてみれば、言葉の壁を超えるのは、パフォーマンスなのだということを、FRANK CHICKENSは教えてくれていたのだ。
ただ当時は日本人アーティストが海外で受け入れるられるということは本当に夢であり、さらにそれがWORLD ORDERのような二の線でなかったことが、彼女たちの功績に日本人が色眼鏡をかけて見てしまった理由だろう。
だけどやっぱカッコいいよ、カズコさん!
ちなみにCD化されるにあたって、セカンドアルバムにボーナストラックとして入れられた、モンスターのカバーはめちゃくちゃカッコいいので必聴です。