I Guess That's Why They Call It The Blues/ELTON JOHN~僕は君に素直な思いを伝えられていただろうか
青春にはいつも何かの壁がある。
その多くは今になって振り返ると、なぜあんなに高く聳え立っていたのだろうと思うものも多く、その壁にぶつかるまでの自分は、なんて甘く愚かな生き物だったのだろうと思う。
Elton John - I Guess That's Why They Call It The Blues
甘酸っぱい青春の中、その頃の自分はぶつかる壁をドラマティックな妄想に差し替えていたことを思い出す。
たとえば恋人とのすれ違いを、このPVのような世相や時代に無理やり当てはめて、引き裂かれてしまった自分たちを妄想したりして、仕方ないよと自分に言い聞かせたりしていたのだ。
ドラマティックなバラードをバックに繰り広げられる、若い恋人のドラマを見守るように歌うエルトン・ジョンの姿は美しい。
帽子とヅラの手離せないおじちゃんが、こんなに優しく温かい視点で、甘く美しい歌声を当時の僕に聞かせてくれたなら、僕は君に素直な思いを伝えられていただろうか。
それにしてもモノクロとカラーの使い方の上手いPVだ。きらびやかで色彩豊かな夜の街。
徴兵された彼の世界からは色が消え、街に残った彼女にはフルカラーの青春が続く。
モノクロの世界の中で髪を刈られた彼が椅子に向けて繰り出す足蹴りのシーンには胸が締め付けられるようだ。
カラーの世界に戻った彼のところへ駆け寄る彼女。
ほんの四分ほどの時間に見ていて感動させられるほどのドラマが込められている。
彼に抱き着く彼女のスカートの裾が一瞬風になびく瞬間の美しさときたらない。
それにしても、この男子、チョー男前ですね。
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