The Lion's Mouth/KAJA GOO GOO~誰が噛まれた? ライオンに
気を付けなよ。
ライオンに噛まれてしまうよ。
君はシャイすぎるよ。
なんてシャイなんだ。
秘密なんだね。
とてもおなじバンドの歌う歌詞とは思えない。
だけどLIMAHLというたった1ピースが欠けただけで、彼ららはこんなに変化してしまった。
なぜなら彼はフロントマンだったからだ。
銃殺を連想させる行列の目隠し、火炎放射器、このPVが放送禁止になったというのは、おそらく第二次大戦中のナチスドイツへの連想があったからではないかと推測する。
ただ歌詞も映像もシリアスだが、そのPVのメインを張るメンバーの演奏シーンはかっこいい。
前曲では演奏シーンのないPVだったが、まだNICKは四弦のベースギターを弾いていた。
このPVで、のち彼の代名詞になるチャップマンスティックが登場するのだ。
初めて見る楽器でどうやって弾いているのかもわからなかったけど、とにかく憧れた。
ただそれまでの余韻を買ってヒットしたと違い、この曲でバンドはチャートと決定的な訣別への道を進むことになる。
曲からもメロディアスなシンセのフレーズは消え、そしてとろけるようなLIMAHLの甘いボーカルはNICKの硬質なものにかわり、そして歌詞も。
もともとLIMAHLをあとから参加させて出来上がった五人が発表した作品は、NICK率いるオリジナルKAJA GOO GOOの本質ではなかったことは想像に難くない。
あの形はLIMAHLを入れることで、大人たちがチャート向けに完成させた作品だったのだ。
そしてそのスタイルで人気を博してしまった以上、彼らの人気を支えていたのは、ティーンの女子たちだ。
実際日本でもそうだった。
NICKにとってはLIMAHLがいなくなれば、この傾向になるのは当然だったに違いない。
しかしその旗の進軍先に、五人のKAJA GOO GOOのファンたちはついてきてはくれなかった。
そこにNICKとは違う、プロデューサーの手によって造られたグループだったKAJA GOO GOOの悲哀がある。
結局、ライオンに噛まれたのは誰だったのだろうか。
気を付けるべきは何に対してだったのだろうか。
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