Lucky Star/MADONNA~あの夏の日のWANNABES
サイボーグになる前のあの娘は、ぷにぷにしたお腹を見せて僕たちの前で淫靡な踊りを見せてくれた。
だがその踊りはどこかエロティックでもフレンドリーで、僕たちよりも感化されたのは、ティーンの少女たちだった。
WANNABES──そう呼ばれた彼女たちは、あの頃の彼女たちにとっての憧れのマドンナの姿を真似た。
ライオンのようなワイルドなブロンドに、黒死蝶のようなリボンを巻き、そしてウェイファーラーのフェイクグラスを鼻に乗せるように下にずらしてチューインガムを噛んだ。
僕たちは街に溢れる彼女たちの黒い革のライダースの下にのぞく、メッシュのタンクトップの下の白い肌を眺めていた。
彼女たちがダンスを真似て少しでも動くと、そのタンクトップの下からちらりと見える白いお腹に僕たちは何かの夢を見ていた。
だけどMADONNAはストリートファッションをやめて、ピンクのドレスに身を包む。
そしてみずからの体を鍛え上げ、サイボーグのような女に変化した。
彼女たちの憧れは、もう簡単に真似のできる存在ではなくなっていた。
WANNABESはクローゼットの奥にしまい込んだ、メッシュのタンクトップを手に取って、あんな日々もあったなあと思い出しながら、幸運の星の下に生まれた女神様をうらやむのだった。
セレブレイション〜マドンナ・オールタイム・ベスト [ マドンナ ]
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