THIS IS VIDEO CLASH "RETURNS"--80年代洋楽PVの記録--

PVをメインに取り上げた80年代洋楽の記録です。2000年頃のアーカイヴをtumblrに移植したものをさらにこちらへ。新作も加えていきます。

アズテック・カメラ AZTEC CAMERA

サラサラヘアーに星がキラキラ輝く大きな瞳。そして、チャーミングなギターの音。
我々の前に登場したロディ・フレイムは、王子様だった。
しかしなかなかどうして、ネオアコ界の王子は一筋縄では行かなかった。

 

あの頃、デビューアルバム「ハイランド・ハードレイン」からシングルカットされた
「Oblivious」には、「想い出のサニービート」という邦題が用意され、夏のビーチへ向かう車のカーステレオからは、その明朗なメロディが流れていた。

 


Aztec Camera - Oblivious (Official Video) (REMASTERED)

 


 


ちょっとオシャレでポップ。そんなこの曲の歌詞の一節を見たことがあるだろうか。

♪君が泣いている姿を見ると ぼくは君の友達を殺したくなるんだ♪

王子はいつも、イギリス人ならではの視点を捨てずシニカルな笑いを浮かべていた。

 

そして、セカンドアルバム「ナイフ」の成功で、王子がその地位を確立したと思われた途端、
「ジャンプ」がリリースされた。

 

透き通るメロディ、神経質な歌詞、マッチョとはかけ離れたアズテック・カメラの王子様が、当時大ヒットしていた、ヴァン・ヘイレンのカヴァーをしたというのだ。

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あのブリティッュでナイーヴな王子が、よりによってあまりにも陽気でアメリカンな
「ジャンプ」をカヴァー? 

 

「ジャンプ」と言えば、ギターはやりすぎなまでにテク自慢をしているし、間奏に入るシンセサイザーはうるさいくらいのテク自慢。
そして歌うのは、どう考えても王子様とは言語体系も思考回路も相容れない、ワイルドマッチョマン。

 


Van Halen - Jump


しかも、シモネタ大好き。一体、王子様にどんな変化がおきたのだろうと、心配したものだった。

 

だが、王子は嗜好が変化したわけでもなければ、シニカルな視点を捨てたわけでもなかった。


王子の手による「ジャンプ」は、それはそれはものすごいエッセンスで香り付けされた名曲だったのだ。


本人曰く、「ある時、この曲のメロディラインがとってもメランコリックなものだと気付いたんだ」
というのが、この曲を選んだ理由だったという。

 

そして、王子に色づけされた「ジャンプ」は、原曲のメロディを破壊することなく、素晴らしくメランコリックな曲に仕上げられた。


それはイギリス人ならではの「まったく飛べないジャンプ」であった。


Aztec Camera - Live La Edad De Oro - Jump