THIS IS VIDEO CLASH "RETURNS"--80年代洋楽PVの記録--

PVをメインに取り上げた80年代洋楽の記録です。2000年頃のアーカイヴをtumblrに移植したものをさらにこちらへ。新作も加えていきます。

Girl in Trouble/ROMEO VOID~二人のヒロイン

この曲のクリップの制作を依頼されたらどうするだろうか。

そんな監督の苦悩と工夫が、このクリップからは溢れ出してくる。

 


Romeo Void- Girl in Trouble (is a temporary thing) Mix

 

曲を聞かされた時点で、このなんともけだるくメロディアスな一曲は、監督の想像力かきたてたことだろう。
しかし、その曲を演奏するメンバーとの初対面。監督は凍りついたに違いない。

 

ネーナ、ベルリン、ユーリズミックス……楽曲だけでなく、クリップをも武器にしてチャートをにぎわす、紅一点バンドと対抗するにはこのままでは……。

 

紅一点のビジュアルがすべてではない、どんなにいいクリップを作っても楽曲が伴わなければ意味がない。
頭ではそう理解していたとしても、ダイエットする意志もなさそうな、デボラのルックスには苦しんだはずだ。

 

しかし、この「ガール・イン・トラブル」は楽曲のよさだけでなく、クリップも評価される作品に仕上がったのだ。
メンバーの姿を見せながらである。

 

では、いかにして。

それは、素晴らしい手法だった。

 

ヴォーカリストを壁画のようなスクリーンに閉じ込め、生物として動く、視聴者が感情移入しやすいヒロインを別に用意したのである。
しかも、スクリーンの中の彼女にも唇の動きを与えることで、ヒロインの役割を与えたのだ。

 

こうして、アーテイスティックな雰囲気のある楽曲にふさわしい、芸術の空気漂うクリップは完成した。

 

惜しむらくは、曲の二番の部分のフィルムではデボラを普通に動かせて歌わせ、視聴者に現実を現実として見せてしまったことだが、監督としてもそこはいっぱいいっぱいだっただろう。


それに、チャートで30数位くらいのヒット曲なら、このあたりはもっともオンエアそれないあたりだし、まあいいか。

 


Debora Iyall " A Girl in Trouble" (2009 San Francisco)

 

 


 

 

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