Girl in Trouble/ROMEO VOID~二人のヒロイン
この曲のクリップの制作を依頼されたらどうするだろうか。
そんな監督の苦悩と工夫が、このクリップからは溢れ出してくる。
Romeo Void- Girl in Trouble (is a temporary thing) Mix
曲を聞かされた時点で、このなんともけだるくメロディアスな一曲は、監督の想像力かきたてたことだろう。
しかし、その曲を演奏するメンバーとの初対面。監督は凍りついたに違いない。
ネーナ、ベルリン、ユーリズミックス……楽曲だけでなく、クリップをも武器にしてチャートをにぎわす、紅一点バンドと対抗するにはこのままでは……。
紅一点のビジュアルがすべてではない、どんなにいいクリップを作っても楽曲が伴わなければ意味がない。
頭ではそう理解していたとしても、ダイエットする意志もなさそうな、デボラのルックスには苦しんだはずだ。
しかし、この「ガール・イン・トラブル」は楽曲のよさだけでなく、クリップも評価される作品に仕上がったのだ。
メンバーの姿を見せながらである。
では、いかにして。
それは、素晴らしい手法だった。
ヴォーカリストを壁画のようなスクリーンに閉じ込め、生物として動く、視聴者が感情移入しやすいヒロインを別に用意したのである。
しかも、スクリーンの中の彼女にも唇の動きを与えることで、ヒロインの役割を与えたのだ。
こうして、アーテイスティックな雰囲気のある楽曲にふさわしい、芸術の空気漂うクリップは完成した。
惜しむらくは、曲の二番の部分のフィルムではデボラを普通に動かせて歌わせ、視聴者に現実を現実として見せてしまったことだが、監督としてもそこはいっぱいいっぱいだっただろう。
それに、チャートで30数位くらいのヒット曲なら、このあたりはもっともオンエアそれないあたりだし、まあいいか。
Debora Iyall " A Girl in Trouble" (2009 San Francisco)
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