ローマン・ホリデイ ROMAN HOLLIDAY
小学校の時、クラスで一番モテモテだった〇〇ちゃんが、大人になって再会したら全然イケてなかったという経験はないだろうか。
子役時代、ものすごく可愛くて日本中の茶の間のアイドルだったタレントが、大人になったらイケてなくて、人気が下降していくことがある。
その最大の理由は、素材の魅力を生かすことを忘れてしまったからではないだろうか。
子供の頃は〇〇ちゃんはお化粧しないスッピンで可愛かったのだ。
その素顔からあふれる表情や行動に魅力があったのだ。
それが、大人になった彼女は、不似合いな化粧をこれでもかというくらいして、僕の前に現れた。
子役タレントも同じこと。
子役というイメージからの脱却を図る余り、セミヌードになってみたり、派手なメイクでテレビに出てみたり。
しかし、世間が求めているそのタレントへの魅力はそんなところにない。
そこから生まれるのが違和感であり、その違和感が飽和した時、彼女はブラウン管から姿を消すのである。
ローマン・ホリデイもそんな道をたどったグループなのかもしれない。
Don't try To stop It - Roman Holiday
デビューした時の彼らは、白いTシャツにGジャン、バギーパンツ、水兵帽。
となりのお兄ちゃんがある日、テレビの街頭取材でインタビューされる姿が映されたような、親しみやすさのある連中だった。
とはいえ、演奏はしっかりしていたし、「ドント・トライ・トゥ・ストップ・イット(邦題:俺らはハリキリボーイ ← あんまりだけどでもピッタリ)」に代表される、ロカビリーやスゥイング、ジャイヴを下地にした明るいロックは、ただ明るいだけのアメリカンロックとは一味違うひねりも持ち合わせていた。
ストレイ・キャッツとともに、ネオロカビリーという、新しいムーヴメントの誕生を予感させたものだった。
しかし、ネオロカビリーはムーヴメントとして名を残す事はなかった。
残ったのはムーヴメントの名前ではなく、ストレイ・キャッツというひとつのグループ名だけだった。
なぜ、ローマン・ホリデイは消えたのか。
セカンドアルバムの発売と同時に、彼らはその方向性を大転換させたからである。
まず、彼らの音楽に個性をもたらしていたホーンセクションのメンバーを切り捨てた。
そして、Gジャンとバギーパンツを脱ぎ捨て、ピンクのジャケットとレザーパンツにはきかえた。
そして髪を綺麗にセットして、ステージに立ったのだ。
Roman Holiday - Hear In The Night
そして、彼らは消えた。
そう、結局彼らのヒットの理由は、独自の音楽スタイルを個性あるキャラクターで表現したことにあったのだ。
それを何を勘違いしたのか、当時ちまたに溢れ返ったデュラン・デュランのコピーのようなスタイルに全てを変更した時点で、彼らはその他大勢の中に埋もれてしまったのだ。
素材の魅力で勝負したとなりのお兄ちゃんたちは、街に出てオシャレを覚えて故郷のみんなの前に姿を見せたら、「へんなカッコ」と切り捨てられてしまったのだ。
「止めようとしたって無駄だぜ!」そう言われたばっかりに、何も言わなかった人たちは、今になって「あの時止めておけばよかった」そう思っているに違いない。
ローマの休日 [ ローマン・ホリデイ ]
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