THIS IS VIDEO CLASH "RETURNS"--80年代洋楽PVの記録--

PVをメインに取り上げた80年代洋楽の記録です。2000年頃のアーカイヴをtumblrに移植したものをさらにこちらへ。新作も加えていきます。

Make It Better (Forget About Me)/TOM PETTY AND THE HEARTBRAKERS~ノイズのようなコウモリ


Tom Petty And The Heartbreakers - Make It Better (Forget About Me)

 

TOM PETTY という人はなんだかフワフワとした不思議な空気を醸し出す人で、そもそもやっていることはバリバリのロケンロールなはずなのに、なぜか立ち位置はふと気が付くと、TALKING HEADS なんかに近い場所に立っていたような気がする。

 

だけど、 TALKING HEADS のトンがったファンなんかには、「ロケンロールでしょ」といわれてしまい、そしてバリバリのアメリカン・ロックファンからは「ニューウェイヴに転んだ人でしょ」といわれるような、「鳥なの? 猫なの?」といわれても着実に繁殖するコウモリのように、微妙で、かつ絶妙な立ち位置だった気がするのだ。

 

大掛かりなPVの効果もあってか大ヒットした前作 Don't Come Around Here の陰に隠れてしまった曲だけど、この曲はPVの世界観としては、前作をちゃんと引き継いでいるし、なんとも不思議なふわふわ感が素晴らしい。

 

コーラスに配置した黒人と白人の女性のビジュアルも視覚的に素晴らしく、おなじことを考えたのは、 WHAM! なんじゃないかと。


時代的に、こっちがあとなので、あれがいける! そう思ったのだとしたら、やっぱりこの人はつかみどころのない、ニューウェイヴにはロケンロールだと思われたままのニューウェイヴなのだ。

 

このPVの途中に出てくるスイング式のマイクなんて、みんなやりそうでやらないビッグ・ギミックじゃないかな。
チェッカーズ全盛期のフミヤとかがいかにもやりそうだけど、ここまで大掛かりにはやらなかったんじゃないかっていう、ありそうでなさそうなニーズ感。


これこそ TOM PETTY の真骨頂なんだよなあと思う。

 

このドラマのすべてが、たった一人の女の子の頭の中で起きていたノイズに過ぎなかった、そんなオチも考え付くのは TOM か SPARKS くらいなんじゃなかろうか。

 

自分の中でド真ん中にはいなかったけど、やっばり素敵だなと、ふと思い出すことの多い傑作。

 

 

 

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