ザ・ロータス・イーターズ LOTUS EATERS
青春にはその時代にしかない共存の仕方がある。
「青い」「美しい」「爽やか」「痛い」「清い」「透き通る」「傷」。
そういったキーワードの中でも相容れないふたつが共存するのが、青春であり思春期なのだ。
たとえば「美しい痛み」、「透き通る傷」。
痛みは傷を伴い、傷は恐怖を伴うものであるのに、この時代にはそれらが、まるで透き通った輝く美しさを持っている。
その時代だけが持つこの特徴は、時に「硝子」にたとえられる。
ロータス・イータースはそれらのキーワードの中で、「美しい」「爽やか」「透き通る」といった共存しやすい要素を表に見せて現れたグループだった。
The Lotus Eaters - The First Picture of You
出始めの頃のティアーズ・フォー・フィアーズが、アコースティック・ギターを所々に入れて、ハイトーンのヴォーカルを聞かせた「ペイル・シェルター」で「青さ」と「痛み」を共存させたのに対して、ロータス・イータースが「ファースト・ピクチャー・オブ・ユー(邦題:青春のアルバム ← なんとかしてください)」で聞かせたのは、「透き通った爽やかさ」、淡い初恋のよき思い出だった。
ただ、彼らはだてに刈上げていたわけではない。
ピーターとジェレミーの刈上げは本気だった。
アルバム「ノー・センス・オブ・シン(邦題:青春のアルバム ← これもなんとかしてください)」で聞かせた楽曲は、「ファースト・ピクチャー・オブ・ユー」の透明感に「痛み」を映したものだった。
彼らが本当に得意としたメロディはシングルカットされたデビュー曲のそれではなかったのだろう。
セカンドアルバムに先行される形で(注)シングルカットされ、クリップの流された「ユー・ドント・ニード・サムワン・ニュー」では、その「痛み」が全編に漂っていた。
Lotus Eaters - You Don't Need Someone New (Hold Tight)
そして、後ろからのアングルで堂々と移される、アクターの刈上げはその毛穴から、血が流れるのではないかと思うくらいに白黒なのに青かった。
その痛みに耐えかねた時、彼らの青春は終わった。
(注)筆者所有のファーストアルバムは洋盤
★CD/ザ・ロータス・イーターズ/NO SENSE OF SIN (輸入盤国内仕様)
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