It's My Life/TALK TALK~真面目過ぎたポップスター候補生
ポストパンク、ポストニューウェーブの流れの中、ニューロマンティックとかネオアコとかなんだかんだと、その瞬間覇権を握ったかのように見えた勢力が、後年振り返ると、一瞬のムーブメントに過ぎなかったという例は山のようにある。
その中にいたアーティストたちは、はたして自分の演っている音楽がなんという名のジャンルにくくられていたか、どんなバンドと同類に見られていたか、そんなことを考えていただろうか。
TALK TALK はなんともとらえどころのない、よくいえば変幻自在、悪くいえば腰の据わらない落ち着かないバンドだった。
タイミング的にもニューロマにくくられて当然のデビューからアルバムを重ね、DURAN DURAN が SIMPLE MINDS を経て ICICLE WORKS になっていくかのような進化の道を歩んだ。
その過程の中でおそらくもっとも一般受けし、МTVブームという追い風もあったがヒットチャートでの露出の多かったスマッシュヒットがこの曲だろう。
その後 JOHN LENNON がプログレしたような方向に突き進む MARK HOLLIS がまだあどけなく、PVも決して予算をかけた感じはしないが、アメリカのМTVでも浮かず、日本の洋楽ファンにも受け入れられそうな手触りに仕上げられている。
しかし彼のその奇妙な鼻の詰まったボーカルは、あきらかに、ナイトクラブでオネチエチャンをはべらせて自分のレコードをかけさせながら、彼女のオッパイを触って愛のたわごとを囁くような声ではない。
彼らの残したアルバムのスタートから三枚は、音楽性の進化とともにファンを切り捨て、マニアを呼び寄せる道だった。
ポップスターになるには真面目過ぎた彼らの生きざまについては、いつかしっかりと語りたい。
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