The Lebanon/HUMAN LEAGUE~チャラ男、世界平和に目覚める(ただしファッションとして)
The Human League - The Lebanon
フィル・オーキーという人は、明らかに浮かれたポップスターとしてナイトクラブカルチャーでピコパコするのが彼の本質だった。
おそらくそれが、当初の実験テクノが肌に合わず HEAVEN17 との分裂を招いた原因だろう。
結果自由になり、派手なメイクをしてきれいなお姉ちゃんを侍らせて歌えばいけるだろうみたいな発想で恋愛恨み節をデュエットしてスターダムにのしあがったわけだが、久しぶりに帰ってきたとき、なんだか小難しくなっていた。
戦場をテーマに重厚なベースソロから始まる曲を歌う彼の姿は、あのメイクをそぎ落とし、ぼっさぼさの長髪に無精ひげ。
一体どうしてしまったのかというほどのかわりようで、社会派のミュージシャンに変化したようだった。
憧れのポップスターになったことで、彼の中に変化が起きたのだろうか。
大金を手にし、ポップス界の頂点を見て、そして彼は世界平和に目覚めたのだろうか。
ボブ・ゲルドフのように。
僕たちの愛した80'sのチャラ男はもういなくなってしまうのだろうか。
だがそんな心配は杞憂に終わる。
結局この路線がイマイチ受けないと気付いた彼は、Human で
あっさりと方向性を元に戻し、そしてファンが求めていたものがそっちだったと再確認するのだ。
安定のチャラ男っぷり。
そして再結成した今もフィルはチャラい。
頭髪はすっきりしてしまったが、チャラチャラとデュエット演歌みたいな歌を歌い続けて、ファンを満足させてくれている。
The Human League "Don't You Want Me" - Stockholm, Debaser Medis 11th November, 2016
そんなフィルが一瞬、変貌を遂げた証拠フィルムがここにあるわけだが、ライブシーンをシンプルに収めたこのクリップはカッコイイ。
ベースのアップから入るイントロなんて、シビれる映像だ。
だが結局フイルのこの方向性は多分深刻な世界平和に対する祈りなどではなく、多分これ
Culture Club - The War Song (HD)
と同じような、マイ反戦ブームみたいなファッションからきたものだったんだろう。
まあそれも彼らしくていかにもで、なんだか愛しく思えるのが結局このチャラ男の魅力なのだ。
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