The Breakup Song/GREG KIHN BAND~ぶっちゃけダサいノスタルジー
Greg Kihn - The Breakup Song (They Don't Write 'Em) - 7/6/1981 - unknown (Official)
GREG KIHN はぶっちゃけダサい。
ベイエリアのロックスターという点で、比較対象としてよく名の挙がる HUEY LEWIS がなんとなくアメリカンロックのお洒落さん的な存在なのに対して、ファッション、曲調、なんとなく前時代的なゴリゴリ感があり、そもそも鼻の詰まったような歌声とか、なんだかとにかく垢ぬけない感じがしてしようがない。
彼らが世に出るきっかけになった The Breakup Song はどこか懐かしいメロディラインが見事だが、ヴォーカルの「あああーんああああっあーん」というハミングなんか底抜けにダサい。
Greg Kihn Band - Jeopardy (1983) (Music Video) HQ
大ヒット曲になった Jeopardy も今聴くと、曲調といいテンポといい、ひと昔もふた昔も前の香りが漂っていて、80年代というより70年代ロックのようだ。
でもなんだかこのダサさが親しみやすく、ノスタルジックでクセになったりもするのだ。
Huey Lewis And The News - I Want A New Drug
HUEY LEWIS が ヒット曲 I Want A New Drug のメロディをめぐって、裁判で Gostbuster したのと対照的に、そういう争いごとや諍いとも縁のなさそうな、近所の兄貴的感じがして、故郷にたまに帰るような感覚で、ふと聴きたくなるのがこの曲だったりする。
大人になると田舎に帰って母親に甘えたくても、見栄やプライドが邪魔をする。
それは親離れしていない自分をダサく感じるからだろう。
でも帰省したとき、心は安らいでいる。
ノスタルジックな満足感は、自分だけのもの。
人に見せるには少しダサいくらいでちょうどいいのだ。
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I Want A New Drug/HUEY LEWIS AND THE NEWS~懐かしの陽気なアメリカン
Huey Lewis And The News - I Want A New Drug
オープニングの瞳の青さに、あ~外人ってすごい、なんて素朴な感想を持った少年時代。
このPVで一番インパクトを覚えたのは、冒頭のシンク。
たっぷり入れた氷に水を張って、顔を浸ける。
水の中で開いた瞳はやっぱり青く、ごぼごぼと泡立つ息がなんだか奇妙に記憶に残っている。
赤いスーツを身に着けたら、ドラマは一気に進行。
オープンカーを運転し、きれいなオネエチャンの姿をサングラスを下ろしてチラ見したら、フェリーからヘリへ。
ヘリが辿り着く先は……。
お前、ライブに遅刻しとったんかーい!
そういえば最初のシーンにライブで演奏するメンバーの姿が一瞬流れてたな。
PVの中のシーンどおり、陽気なアメリカンって感じが、あの頃憧れたアメリカって感じでなんだか懐かしい。
レコードだと最後のボーカルのあと、長い演奏があるんだけど、PVではスパッと切れるように終わるのもカッコイイ。
最後のHUEY LEWISのストップモーションもフィルム的にはすごくいい。
SPORTS [ ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース ]
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アイシクル・ワークス ICICLE WORKS
「ウイスパー・トゥ・ア・スクリーム(バーズ・フライ)」のクリップは、なぜ日本のMTVであれほど繰り返し、流されることになったのだろう。
Whisper To A Scream (Birds Fly) - Icicle Works
たしかに、イギリス出身のグループでありながら、日本のチャートに影響力のあるビルボードのトップ40あたりにはランクインしていた。
サビのフレーズは耳に残った。
ヴォーカルのイアン・マクナブはちょっとかわいい感じだった。
だが、この曲全体をつらぬく骨格ともいえるドラムの音は、明らかに「音楽をファッション感覚で捉える最先端人」や「かわいい曲が好きな女子大生」や「アイドルタレントを欲しがる女子高生」とは、遠く距離を隔てていたはずだ。
このグループのファーストアルバムを聴くと、シングルカットされた二曲の特異さに気付くはずである。
他の曲と比べて「ウイスパー・トゥ・ア・スクリーム」のサビのメロディは特殊なまでにキャッチーだし、もう一曲にいたっては、タイトルからして「ラヴ・イズ・フル・オブ・ワンダフル・カラー」である。
Icicle Works - Love Is A Wonderful Colour
「愛ってきれいな色でいっぱいだよ」なんて、堂々と絶唱するなんて考えられるだろうか。
しかしその反面、「チョップ・ザ・ツリー」「ニルヴァーナ」「ファクトリー・イン・ザ・デザート」など、「ラヴ・イズ・フル・オブ・ワンダフル・カラー」と同じアルバムに並ぶとは思えないタイトルがずらりと並んでいる。
The Icicle Works, live in 1984 - A Factory In The Desert (Ian McNabb)
「ウイスパー・トゥ・ア・スクリーム」にしたって、字面を見たら、後者よりだ。
そもそも「バーズ・フライ」がタイトルだったわけだし。そう思い直すと、キャッチーなサビとともに聴くものを虜にした「ウイスパー・トゥ・ア・スクリーム」のハードなドラムが耳の奥に響いてくる。
当時、デュラン・デュランに代表される日本でアイドル系のプロモーションをされるアーティストの成り立ちには二通りあった。
ひとつは、いちから作ろうとするやり方。
その最大の成功例は、GIオレンジだろう(日本限定)。
ちなみに失敗したのは、デヴィッド・オースティンやナショナル・パスタイムだ。
David Austin - Turn to Gold (5th June 1984)
National Pastime - It's All A Game
そして、もうひとつのやり方。
これがこのアイシクル・ワークスにも適用された方法なのだが、ライヴハウスから出てきたバンドをメジャーデビューさせる時に、「結構ルックスいいから、そっちの路線で行っちゃえ」という方法。
これは、メンバーにポップスター志向が強い場合は成功するが、そうでない場合はかなりの確率で失敗する。
中でも、チャートアクションの失敗よりも悲惨なのは、メンバーが方針に造反するような音を作り出すことだ。
本来ならプロデューサーが望むより、もう一割程度難解な曲を作りたいはずのメンバーが、ポップな歌謡曲を求められたばかりに意固地になって、自分たちの音楽の中の難解な部分だけを集めて曲を作ってしまい、メジャーデビューする前のファンまでついてこれなくなってしまうというパターンである。
アイシクル・ワークスのイアン・マクナブはこの迷宮に入り込んでしまったのではないだろうか。
ファーストアルバムとセカンドアルバムの間に当たる時期に、アイシクル・ワークスのライヴがオンエアされたことがある。
それを見た時、なんともいえない危険性を感じたことを思い出す。
ステージで繰り広げられる三人のパフォーマンスは、明らかにアイドル系バンドのものではなかった。
中でも、「ウイスパー……」の中で、ギターとキーボードを一人で操り、目を閉じて絶唱するイアンの姿は際立ってそうだった。
Icicle Works Birds fly (Whisper to a scream) Live
その前髪はアゴまで伸び、アイドルとして扱われかけた自らの顔を覆い隠すような髪形になっていた。
そして彼らは自由を得た。
セカンドアルバム以降、ポップさやキャッチーさは影を潜め、そこに展開されていく世界は「ニルヴァーナ」をさらに深遠なものにした、宗教美術のような世界であった。
透き通るツララを作りつづける工場で働く青年は、作るはしから溶けていくツララを見て、工場での大量生産のむなしさを悟ったのだ。
そして彼は絶叫する仲間にそっとささやいて、砂漠の中の工場から鳥のように飛び立った。
自らの涅槃へ。そして工場には、彼が「愛」と呼んだ、きれいな色をした大木が切り倒されて残されていた。
仲間とともに。
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カジャ・グー・グー KAJA GOO GOO
カジャ・グー・グーからリマールの脱退が発表された時、「リマールがコケる!」そう思った。
あまりに突然の発表だったし、ベーシストのニック・ベッグスのテクニックとクリップでのアクションにほれ込んでこのグループを評価していたファンには、リマールは何の武器も持たない、ドラクエのスタート時の勇者のように丸腰に見えたはずだ。
しかし、結果は逆だった。
そもそも、この脱退劇は、いまだに原因がどちらにあったのかが、よくわからない。
一説では、シンセ多様の恋愛ソングを歌いたがるリマールを、テクニック重視のファンク志向が強い他のメンバーがクビにしたと言われたし、もう一説には、元々ソロでデビューして失敗したリマールが、バンドという形で再スタートして売れたところで、再度ソロでやりたくなって、メンバーを見切ったと言われていた。
真相は知らないが、いずれにしてもどちらかがどちらかを裏切ったのは事実らしい。
ただひとつだけ言えることは、リマールを失ったカジャ・グー・グーは、そのテクニックと音楽的な志向で墓穴を掘った。
そもそも考えてみれば、カジャ・グー・グーのヒットの要素は、リマールのアイドル的ルックスと、それにマッチしたちょっと甘酸っぱい恋を歌った歌詞、そして、切なさと明るさの共存したシンセの音色にあった。
Too Shy - Kajagoogoo (official music video)
いわゆる、「胸キュン系」の音楽と小柄なリマールのお星様キラキラの瞳に、全国の女子高生がホントに胸キュンしたことにあったのだ。
それが、4人になったカジャ・グー・グーの音楽は、それまでとは一変、ハードなベースを前面に押し出した、ファンクロックになってしまった。
Kajagoogoo 'Big Apple' Video Filming - Photos
「トゥー・シャイ(邦題:君はトゥー・シャイ)」で、片膝立てたリマールに胸ときめかしたお嬢ちゃんたちに、いきなり大都会のジャングルの厳しさを説いてもついていけなかっただろう。
しかも、あのメロディアスなシンセは奥に引っ込み、バリバリのチョッパープレイ、ビヨンビヨンの世界。「トゥー・シャイ」のクリップを見て、「ニックもかわいいよねー」「ベースの弾き方チョーカワイー」とか言ってた、お嬢ちゃんたちに、ホンモノの音を聞かせてしまっては、さあ大変。
多分、オリジナルカジャ・グー・グーのファンの中心だった女の子たちは、あのカワイー弾き方があんな音出してたなんて、想像もしてなかったことだろう。
ソロになって一枚目のシングルは一見、カジャ・グー・グーに軍配が上がったかのように見えた。
彼らの「ビッグ・アップル」は本国のチャートでトップ10にランクインしたが、リマールの「オンリー・フォー・ラヴ」はトップ20がやっとだった。しかし、しかしである。
「ビッグ・アップル」が手も足も出なかった、アメリカのチャートに、リマールは50位台とはいえ、顔を出したのである。
これは、フロントマンとなったニックにとっては屈辱の結果だっただろう。
「トゥー・シャイ」をトップ5まで押し上げたアメリカのファンが覚えていたのは、カジャ・グー・グーというグループでもニックの高度なベースプレイでもなく、リマールのスカンクみたいな色の逆立った髪型と、甘い声だったのである。
リマールはその後も、映画のテーマ曲「ネヴァー・エンディング・ストーリー」で、アメリカのチャートに実績を残す。
Limahl - Never Ending Story - 1984
しかし、ニック率いるカジャ・グー・グーが、表立った国際舞台に立つことは二度となかった。
Kajagoogoo - The Lion's Mouth (Live 1984) [HQ]
ベースをスティックなる見慣れぬ10本弦の楽器に持ち替えて歌う、「ライオンズ・マウス」は、リマールのアイドル性に惹かれた少女たちに訴えかけることはできなかった。そして、カジャの名のもと三人が残ったものの、最後は誰もいなくなってしまった。
どちらかがどちらかを裏切った。
残ったものは……何もない。
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Hurt / RE-FLEX ~痛覚のない疼痛
アルバムとクリップで異なるイントロになっているが、曲としては当時の「ピコパコ感」満載のアルバムのイントロの方が、この曲にはふさわしい。
しかし、グループの色が出ているのはどちらかといわれれば、シンセの和音から入って、いきなりボーカルにつなぐ、クリップ版イントロのほうが出ている気がする。
血の通わないロボットに「痛み」を表現させた映像は、「体温のなさ」「感情のなさ」「痛覚のなさ」を逆手にとって、見るものに疼痛を与える。
実に不思議な感覚のクリップだ。その「痛み」の感じさせ方が、やっぱり近未来的なのだ。
このクリップは演奏シーンも多く、バクスターのうねるように音階を上げていくボーカル、ポールのクールなシンセ、ナイジェルの無機質なベース、すべてが映像で確認できる貴重なクリップ。
バクスターの髪型、ぺったんこのカンフーっぽい靴、すべてが憧れだった。
ただのハゲだとわかっていても、「近未来的髪型?」と訊きたくなるナイジェルのルックスも妙に目を惹く。
Ordinary Day/CURIOSITY KILLED THE CAT~80年代のカッコイイがあった部屋
日本でもCMに起用され、そのアイドル的なルックスがやっぱりウケたCURIOSITY KILLED THE CAT。
黒っぽさを感じるクールで都会的な音は、80年代のスカと表現するとしっくりくるかもしれない。
Curiosity Killed the Cat - Ordinary Day
都会のフラットのような場所にモデルのようなおねえちゃんがいて、無機質な部屋でクールな演奏。
いかにもあの頃のカッコイイが詰まったPV。
単なるミュージシャンというよりクラブカルチャーから飛び出した、アートやファッションとの境界線のない、みんなが憧れた時代の最先端が彼らだった。
70年代が VISAGE なら80年代はここなんじゃないかと勘違いさせられたものだった。
ヴォーカルのBen Volpeliere-Pierrotはいかにもモテそうな男前で、後ろ前に被った帽子がカッコよかった。
ただこのPVを見たときに、こいつは絶対ハゲると思ったね。
CURIOSITY KILLED THE CAT DOWN TO EARTH LOTTERY 2000
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Tarzan Boy/BALTIMORA~作られた雄たけび
このPV、よく見ればバンドとは名ばかり、ボーカル以外の姿は見えない。
一瞬ソロプロジェクトかと思うけど、実際にはソングライティングから何からすべてやったプロデューサー的な人物が、自分の思う絵を描いた作品のようなチームだったらしい。
ワンヒットワンダーの多くは、何の前触れもなく現れ、そしてその曲だけを残してどこかへ消えていく。
だが、むしろ世界的ヒットを放ったスターとして、母国では神格化され、人気は続いているのが当然の結果だったりする。
しかしそれも NENA や FALCO のように、その姿、出自が明らかでないと難しくなってしまう。
BALTIMORA というとなんといっても「おおおおおおおおおおおおお~」の雄たけびを、キャッチーなメロディにのせたヒット曲が思い浮かぶ。
というより、その曲名 Tarzan Boy は思い出せても、バンド名が思い出せないオーディエンスも多いのではないだろうか。
今冷静に振り返ってみると、そもそも BALTIMOLA とは誰だったのか。
アイルランド出身のボーカルというプロフィールから、アイルランド出身のグループかと思っていたら、実際にはイタリアのグループらしい。
そういわれてみると、いかにもなユーロディスコの曲調だし、なるほどな、と思う。
作られたものでも、魅力はある。
その証拠が何より、この曲は大ヒットしているではないか。
Baltimora - Tarzan Boy : The World Of Baltimora (Remastered) IMPORT (EU)
- アーティスト: Baltimora
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