THIS IS VIDEO CLASH "RETURNS"--80年代洋楽PVの記録--

PVをメインに取り上げた80年代洋楽の記録です。2000年頃のアーカイヴをtumblrに移植したものをさらにこちらへ。新作も加えていきます。

You're My Heart, You're My Soul/MODERN TALKING~哀愁あふれる絶品のダサさ


Modern Talking - You're My Heart, You're My Soul (Official Music Video)

 

日本人の遺伝子には、哀愁を愛でるなにかが潜んでいる。

子供の頃、縁日の見世物小屋の前で聴いた天然の美は私たちの胸に小さく、そして老けない棘を刺したのだ。

 

80年代の洋楽の中でも突如として売れる謎のヒット曲の中には、その要素が重要なカギを握っていたものが存在した。

FLA LIPPO LIPPI ALPHAVILLE はまさにそういうポイントを押さえていた気がする。

 

そんなカテゴリに属するのが MODERN TALKING だろう。

“あなたは私の心、あなたは私の魂”…なんともストレートで、恥ずかしいようなこのタイトルも、哀愁に満ちたメロディに載ると、その魅力は輝いて聴こえた。

 

だが…なんともPVがダサい。
ちょっとないくらいにダサい。

 

ここに演歌的なベタな要素を見てしまうのは、日本人だからだろうか。
このメロディを愛するのも、そして演歌を想起するのも日本人だからなんだろうか。

おなじ哀愁あふれるメロディで人気を博した ULTRAVOX あたりと比べてみると、もうなんともすさまじいダサさは否めない。

 

ちなみに98年のリメイクがこんな感じだった

 


Modern Talking - You're My Heart, You're My Soul '98 (Video - New Version)

 

…ことを思うと、なんというか時代を超越しているというよりは、出遅れている感じなんだろう。

 

80年代においては70年代のようなノリとファッション、そして90年代も終わりにして、80年代のブリティッシュインヴェイジョンの頃に追いついたのだ。

  

98年のこのPVのテイストはすでに80年代に第一線にいたバンドたちに消費されつくした…そんなPVのパターンの一つだと思う。

 

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リック・スプリングフィールド RICK SPRINGFIELD

RICK SPRINGFIELD といえばその楽曲には究極の安定感があった。

新曲が出たぞとわくわくしてレコード盤に針を落とせば、いつもの RICK が現れる。

 


Rick Springfield - Human Touch

 


Rick Springfield - I Get Excited

 


Rick Springfield - Love Somebody

 

すなわち…ひとことでいえば全部同じ曲に聴こえるという。
しかしそれは、いつも安心を与えてくれるという意味でもある。

 

そもそも楽曲のクオリティは水準以上で Human Touch のイントロなんかを聴けば、ひねりを利かせていて、工夫を重ねた軌跡は明らかだ。

 

だが…曲がサビまで来ると、顔をのぞかせるのは、いつもの RICK のリック節だった。

 

そんな彼も少しずついろんなテクニックを身に着けたのか、当時のテクノからニューロマという時間の流れを肌身に感じていくうちにその音に影響されたのか、ついに新境地を開いた。

そしてこんなかっこいい曲を生んでしまったというのが Bop 'Til You Drop だった。

 


Rick Springfield - Bop 'Til You Drop

 

曲調、アレンジともにブリティッシュ。インベイジョンの顔ぶれのような仕上がりで、おまけにPVはかつての近所のカッコイイおにいちゃんみたいな彼ではなくスター・ウォーズのような世界観。

 

これはいいなと思ったのだけれど。

 

だけども♪ だっけど♪

 

世間の求めた RICK SPRINGFIELD はこうじゃなかった。

汗臭くて、だけどちょっとかっこいい隣のお兄ちゃん。
そんなお兄ちゃんが都会を知ってあこがれて、その方向性に走り…。
ファンは戸惑いはじめる。

 

次作で明らかになるが、ヒットチャートをにぎわし、いろんな音楽と対峙して彼がようやく見つけた道-TAO-は、彼をそこまで持ち上げてくれた彼のオーディエンスとの間に大きな壁を作ることになってしまうのであった。

 


Rick Springfield - Celebrate Youth

 

一言いわせてもらえるなら、辿り着いた場所の時代がアップデートがされてない感じがする。
この曲を初めて聞いた感想は、いいメロディだけどなんだか音の作りが古くさいなというものだった。


憧れを最新の時間にリメイクしてリバイバルさせるのではなく、まるで数年前のロンドンに彼自身がタイムスリップしてしまったような一曲だった。

 

そして戸惑っていたファンはその時間旅行の同行者ではなく、見送りのプラットホームに立ち尽くす人並みであった。

 

 

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Hard To Hold (1984 Film)

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Tao (Coll)

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Olympia/SERGIO MENDES~トーキョー2020私たちのオリンピック

SERGIO MENDES といえばもちろん知らない人がいないのは Mas que nada ということになるだろう。

 


Sergio Mendes & Brasil 66 - Mas que nada (introduced by Eartha Kitt / Something Special 1967)

 

しかし東京オリンピックイヤーを迎えた今年、思い出すのはこの曲だ。


Sergio Mendes - Olympia (1984)

 

壮大なスケールの曲、PVを用意した Olympia は1984年、ロスサンゼルス・オリンピックのテーマ曲として誕生した。

 

このPVには
・今まさに戦う選手
・オリンピック黎明期のギリシアの戦士たち
・いつかオリンピックにたどり着くかもしれないダウンウンの少年
のドラマが盛り込まれている。

 

とはいえ明確なストーリーがあるわけではなく、すべてがイメージフィルムのような作りで、それを見た私たちが感じるものが絵になる仕掛けである。

 

暗がり、聖火、曙、そして射す陽の光。
オリンピックがもたらす私たちへの夢や希望。

 

ドラマティックな音楽に支えられた、美しいフィルムは時を経ても色あせない。
それがオリンピックの魅力なのだろう。

 

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オリンピア

 

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Happy Xmas (War Is Over)/JOHN AND YOKO, THE PLASTIC ONO BAND WITH THE HARLEM COMMUNITY CHOIR~世界は小さい。悩めるあなたにクリスマスの悦びを


Happy Xmas (War Is Over) - John & Yoko, The Plastic Ono Band with The Harlem Community Choir

 


The Beatles - Twist & Shout - Performed Live On The Ed Sullivan Show 2/23/64

Beatlesのパンキッシュな側面は、間違いなくJohnの感性によるものだと思う。
逆にロマンティックな部分は、Paulのものだ。


PAUL Mc CARTNEY ( No more lonely Nights 1984 ) HD


John Lennon - Nobody Told Me [Remastered] [HQ]

ソロになってからの曲を聴くと、そのあたりはより鮮明になるのではないか。

 

パンクといってもボーカルスタイル、音そのもの、そして思想や信条など、それを構成するものは多様だ。
モヒカン、鋲のついたリストバンド、安全ピン、ガーゼシャツ。
スリーコード、シャウト、アナーキズム、左翼思想。

 


THE CLASH - "KNOW YOUR RIGHTS"


10. Discharge, Why? - Stoke On Trent '83

その中でもひとつ、信念的な部分にスポットライトを当てると、音楽で世界を変えようとしたJohnの思想をパンクと呼ぶことは許されると信じている。

 

世界はひとつだ。
世界は平和のために。
戦争は終わった。

 

世界は広く
あなたの世界は小さい
その島の外にはあなたの知らない広い世界と新しい文化が息づいている
一歩踏み出してみよう


僕は知っている
あなたの夢見た世界が現実の世界だということを

 

 

幸せなクリスマスを。
そして、世界に争いのない新年を。

 

 

2017年、ありがとうございました。

 

 

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Do They Know It's Christmas?/BAND AID~(3)メリークリスマス・フォーエバー

それと比較して、後発のアメリカにはなんだかショウビズの臭いを感じてしまったのは仕方ないところだろう。

 

弁護するなら、効果も何もわからないままスタートしたイギリスと違い、バンドエイドの成功を見たから始まったプロジェクトなわけだし、集まってくるメンバーにもハレの舞台だという意識がそもそもあったから、という言い訳は通さざるを得ない。


Live Aid Finale 1985 - Do They Know Its Christmas



たださらに半年後のライヴエイドにしても、フィナーレを比較すると、みんなで自然にマイクに集まって、自分の声が拾われているとかいないとか関係なく歌い、時には隣のアーティストにマイクを譲ったりしている姿が映されたイギリス。

 


USA For Africa - We Are The World Live Aid 1985 - (HD)

 

それに対して、なんだか台本通りに「ここ盛り上げて!」「ここそっちが仕切って!」みたいにやろうとしてるのに、俺が俺が私が私がで収拾がつかなくなっていく上に、終わってみればものすごい勢いの黒人のおばちゃんしか記憶に残らなかったアメリカという感じだった。

 

いや、パティ・ラベルはたしかにすごいシンガーですけど。
ただなんか空気の読めない大阪のオバチャンが黒人になってアメリカに登場したみたいな印象ではあった。

ともあれ、バンドエイドは美しい。

 


Band Aid - Do They Know its Christmas - The Making of - 1984 Video

 

そしてそもそもこのチャリティの流れの発端だったからということもあるだろう。
この奇跡のグループだけが、伝説となりうるのではなかろうか。

 

それにしてもポール・ウエラーって男前だな。
生真面目すぎて、いかにもなポップスターの中に入ると所在なさげにしてる感じはするけど。

 

Feed the world!
飢えることのない世界を!

 

 


 

 

 

 

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Do They Know It's Christmas?/BAND AID~(2)普段着のクリスマス


Do They Know It's Christmas / Band Aid

 

志の立派さに異論を唱えるつもりはないが、ネーナとアルファヴィル以外は誰が誰だかわからなかったドイツのあれとかは、世界的な影響の小ささから、今回は話題にしないことにする。


Band für Afrika bei Form1 - Nackt im Wind u.a. mit Nena 1985

 

バンドエイドもアメリカのほうも、結果として、巨額の支援を苦しむ人々のために集めたことには違いない。
そこに口を挟む資格は、その規模の何かをできるはずもない我々にはもちろんない。

 

しかし、あの頃さんざんいわれたUSA FOR AFRICAに対する指摘は、的を射ている。

 

アメリカのステージはマイクを奪い合っていて醜かった」
「イギリスのファイナルはマイクを譲り合い、みんなの心がひとつになっていた」

 

これは本当に見れば見るほどその意見にうなずくほかない。

PVを見ていてもわかる。

 


Band Aid - Do They Know It's Christmas (Extended Version)

イギリスのメンバーは、みんな普段着なのだ。
まるで仲間とオフでセッションするように集まり、普段着のまま歌う。

 

リードをとるポール・ヤングはTシャツだし、ジョージ・マイケルサイモン・ル・ボンだって近所をうろうろしてそうな恰好だ。
ボノもそのへんの大学生みたいなラフなシャツで、トニー・ハドリーですらジャケットを着てない。

 

サビの前に遅れて参加してくるメンバーの服装ひとつとっても、バナナラマなんてもう完全に、部屋着の隣のお姉ちゃんだしね。
マリリンの毛皮のコートにはちょっと笑ったが、その下の服ときたら、ジョギングのおじさんみたいなもんだし。
ボーイ・ジョージなんて着飾ってなさ過ぎて、逆にそこだけは譲れなかった化粧が浮きまくってる。

 

それに本当にこれだけのスターが集まっていても、誰ももっと映せだのなんだのいわなかったっぽいPVの仕上がりがすごすぎる。
JTにしろ、ジョディ・ワトリーにしろ、それでいいのかというくらいの出番だった。

 

 


 

 

 

 

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Do They Know It's Christmas?/BAND AID~(1)クリスマスを世界に


Do They Know It's Christmas / Band Aid

1984年。

一人の表舞台から消えかけていた男のふとした思い付きがすべてを変えた。
世界も。そして彼自身の人生をも。


The Boomtown Rats - I Don't Like Mondays

ボブ・ゲルドフのしたことは素晴らしい。
パブリックに語られているきっかけがどこまで真実で、どこからが虚飾なのか、そんなことは問題ではない。
結果が出ればそれでいいのだ。

 

世界に食糧を。

 

当たり前のように食事をし、当たり前のように眠り、起きたら朝食が食べられる。
街のどこかで消費期限を過ぎた弁当が、鍵をかけたごみ箱に廃棄されていく。食べ物が。
まだ食べられる食べ物が、廃棄されていくような世界に住んでいる我々には、決して実感できない試練があの頃たしかにあり、そしてそれは今もどこかで形を変え国を変え、継続している試練なのだ。

 

それを安易に地獄と呼ぶことは許されない。なぜなら、その世界しか知らなければ、それはどんなにつらくとも、日常だからだ。

 

さておき。
ボブの行動と、それを支えたミッジ・ユーロの功績、そして世界が興味を示した顔ぶれの豪華さだけが、バンドエイドではない。

 

当時もさんざん語られたことではあるが、バンドエイドには比較対象があった。
それが後発のUSA FOR AFRICAだった。

 

USA for Africa - We are the World

 

 


 

 


 

 

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