This Charming Man/THE SMITHS~マザコンフォーク少年のソリッドロック
The Smiths - This Charming Man (Official Music Video)
THE SMITHS がカリスマになったのには、なんといってもモリッシーの書く歌詞が青春をすぎた若者たちの共感を呼んだからに間違いない。
彼の詞に感動したのは青春ど真ん中、必死に生きている少年たちではない。
工業都市の片隅でロンドンに憧れて鬱屈とした青春を過ごし、そしてもうその時間が戻らないと気付いた元少年たちが感動したのだ。
しかしもしその歌詞を載せたのが、ニューロマの名残を感じるミッジ・ユーロの書くような曲では彼らには響かなかっただろう。
なにしろ彼らはミッジやスティーヴ・ストレンジが築いた虚構の街の夜には届かない青春を過ごしたのだから。
そこで重要な意味を持つのが、ジョニー・マーの音楽的な嗜好だ。
シンセイサイザーではなくギター。
そしてコードではなくフレーズ。
ソリッドな彼のギターは沈痛なモリッシーの言葉の世界にリズムを与え、体を動かす作品に仕上げた。
モリッシーが振り回す花束は、マザコンフォーク少年が、マーの曲によってロックの世界に飛び込めた嬉しさをあらわす照れ隠しの暴動表現だった。
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