THIS IS VIDEO CLASH "RETURNS"--80年代洋楽PVの記録--

PVをメインに取り上げた80年代洋楽の記録です。2000年頃のアーカイヴをtumblrに移植したものをさらにこちらへ。新作も加えていきます。

ニュー・オーダー NEW ORDER

あの頃のニュー・オーダーのヴィジュアル面を語ると、二人の男に行きつく。

少年のようなバーナード・サムナー(バーニー)と、ワイルドなルックスのピーター・フック(フッキー)だ。

 


New Order- Blue Monday (PFD Tokyo 1985)

 

イアン・カーティスの衝撃的な死によりジョイ・ディヴィジョンの幕は下り、そしてニュー・オーダーの幕は開いた。

 


Joy Division - Love Will Tear Us Apart [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

 

圧倒的な存在感を示したボーカリストを失くして、失速したバンドは数多い。
カジャ・グー・グーしかり、


Too Shy - Kajagoogoo

 


Kajagoogoo - Turn Your Back on Me HQ ( 720p )

 

J・ガイルズ・バンドしかり、


J Geils Band Centerfold Ultimix) Vid

 


The J. Geils band - concealed weapons

 

ヘアカット100しかり。

 


Haircut 100 - Favourite Shirts (Boy Meets Girl)

 


So Tired - Haircut 100

 


いずれもテクニック面ではなんの見劣りもしていないし、曲についても佳作を残しているのにみんな消えた。

 

しかしニュー・オーダーは残ったのだ。

その理由はどこにあるのか。

 

ジョイ・ディヴィジョンの影を引きずったスタートであったことはブルー・マンデーが重く示している。


彼らのいう「憂鬱な月曜日」は、まさに彼らがイアンの自死を知った日であり、曲がそのことをうたっているのはいうまでもない。

しかしそこで彼らはひとつ大きな賭けに出た。

 

ジョイ・ディヴィジョン時代と違い、憂鬱な歌詞を載せたのは、その当時の最先端を行くダンスミュージックだったのだ。

そしてあれから30年近い月日が経った今もそれは古くない。

 

クラフトワークがいつしか笑いとなり、ディーヴォがテクノとすら認められなくなったこの時代においても、ブルー・マンデーはクールなテクノミュージックなのだ。

 


Kraftwerk - The Robots


Devo | Satisfaction | Official Video

 

そこには死という重い事実が彼らを突き動かしたからこそ生まれた重さと真摯さがあるのではないか。

 

分かりやすい未来をヒットのために作り出したクラフトワークと、ノリと勢いで面白く攻めたディーヴォとの違いはそこにある。

ニュー・オーダーは成り立ちからして真面目だったのだ。
儲けたかったわけではなかったのだ。

そう思いたい。

 


New Order - Confusion [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

 

その後、わざわざニューヨークにみずから乗り込んでまで、アーサー・ベイカーにすべてをゆだねた「コンフュージョン」をみずからかたくなに封印しているのが何よりの証拠ではないか。

 


 

 

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I Can Dream About You/DAN HARTMAN~忍法吹き替えの術~

彼の歌声を聞き、このクリップを見て、ダン・ハートマンは小林克也みたいな感じの黒人だ! と思った人は数多いだろう。

 


I Can Dream About You [Official Music Video] The Sorels (Dan Hartman)


誰がなんと言おうと、このクリップは傑作だ。


実際のダンは白人のボーカリストなのだが、映画の挿入曲としてヒットしたこの曲のクリップは、映画のシーンが使われた。
しかも、映画の中で、黒人四人のボーカルグループがこの曲を歌うシーンが、そっくりそのままクリップになったのである。


吹き替えのソウルテイスト溢れるダンの歌声に合わせて、歌うフリをしつつアクションする、この四人の動きのあまりの素晴らしさに、特にリードボーカルの男性の素晴らしさに、見とれてしまう。

 


Dan Hartman - I Can Dream About You

 

そして、その結果、次のシングル「ウィー・アー・ザ・ヤング」で、本人自らのステージをクリップにしたダンを見て、「あれっ!?白人?」という衝撃を受けたることになったのだ。

 


Dan Hartman - We Are The Young

 

ここまで完璧な吹き替えはめったにあるものではない。

口の動きがピッタリとか、そんな次元の問題ではない。
すべてがぴったりなのだ。


本人よりカッコイイ吹き替えというのは、本人にとってはいかがなものなのだろうか。

 

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The Love Cats/CURE, THE~捨て猫の集まる死臭のない町 

まさか、キュアーがこんなアプローチをしようとは、「ポルノグラフィ」を聴いていたファンは夢にも思わなかったことだろう。

 


The Cure - The Lovecats

 

しかも、ロバート・スミスがこんなに明るいオトコだったなんて。

 

それまでの、陰鬱なイメージではなく、楽曲自体に町や都会を感じさせる匂いの溢れたこの曲は、キュアー転換期の貴重な一曲であり、重要なクリップだ。

ただ、その町の匂いも、いきなりシャカタクのような方向に行ったりはしない。

 


Night Birds - Shakatak

 

クリップにうじゃうじゃ登場する猫のごとく、捨て猫が集まる町の匂いだ。
なんともいえない切ない倦怠感や、アングラな匂いはどこかに残っている。
なくなったのは、初期キュアーが持っていた死臭だ。

 

ロバート・スミスの絶対といっていいくらい、カメラを見ようとしない宙を舞う視線は一体何を見ていたのだろう。

 

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日本人の囁き

日本人の囁き

 

 

Where's Romeo/CAVA CAVA~よい子のみんな~、げんきかなぁ~?

声は偉大な武器になる。

シーナ・イーストンのコケティッシュな高音を聴け、アニー・レノックスのソウルフルな声を聞け。

 

しかし、その武器は両刃の剣である。

 


Cava Cava - Where's Romeo?

 

 

サヴァ・サヴァと聞いて思い出せない人も、もしかしたら、ヴォーカルのスティーヴンの声を聞いたら思い出すかもしれない。
というのも、彼の声は声変わりを忘れた少年の声、そのままだったのだ。
それも、思春期の少年の声というより、幼児の声に近いくらい、ばぶぅな声だった。

 

結局、サヴァ・サヴァのすべてはその声で決定付けられた。

 

売り出し方はアイドル、クリップもプリティ。
音楽的には、アルバム中の「バーニング・ボーイ」あたりを聴くと、当時のダンスシーンにはかなり入り込めそうな、陰影の要素ももっているのだが、いかんせん、あの声。
そして、その幼児性を強調すかのごとくアレンジされた「ロメオ」というシングルの選曲。


クリップはまるで幼児番組のようなつくりで、一体、誰を対象に売る気なのかがさっぱり疑問のサヴァ・サヴァであった。
本人たちは「うたのおにいさん」になりたかったのだろうか。

 

 

ブラザー・ブライト [EPレコード 7inch]

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ロミオ [EPレコード 7inch]

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Young At Heart/BLUEBELLS, THE~青春を映し出すロードムービー

当時のクリップにはいくつかのパターンがあって、大仰なドラマ仕立てとスタジオライヴの主流二派に継いで、こういうロードムービー仕立てのものも作られていた。

 

このクリップはその中でも珠玉のでき。

 


The Bluebells - Young At Heart (1984) (HD)

 

メンバーの表情が実に多彩で、爽やかな曲調、楽曲のテーマにぴったりと収まっていた。

 

エスの「ロンリー・ハート」のように、クリップが曲とは別の魅力を持ち、ヒットにつながる例も数多いが、クリップと曲とメンバーがここまで一体化した作品は貴重。

 

このロードムービーにもう少し細かい台本を用意して、やんちゃなメンバーにやらせたら、ローマン・ホリデイの「ドント・トライ・トゥ・ストップ・イット」ができあがるのかもしれない。

 


 

 

 

シスターズ

シスターズ

 

 

Hear It In The Night / ROMAN HOLLIDAY ~サラバ、ハリキリボーイ~

ピンクのジャケット、レザーパンツ、整った髪形、耳にきらめくピアス。
ローマン・ホリデイはこの瞬間、全てを失った。

 


Roman Holiday - Hear In The Night


楽曲は悪くない。


しかし、世間がローマン・ホリデイに求めたものはこのクリップにはまったく残っていない。


そこにあるのは、個性に欠けるデュラン・デュランや、デキの悪いワム!のような、明らかに魅力不足の空回りした勢いだけだった。

 


Roman Holliday One Foot Back In Your Door (1984)

ここにはまだ何かがあったのに。

 


 

 

 

STILL ON FIRE / AZTEC CAMERA~シニカル・ヒステリー・アワー~


Aztec Camera - Still on Fire

この曲を歌う、ロディ・フレイムの唇の動きは必見。


当時、唇といえば、スティングのトンガリくちばし(コリー・ハートはまんまコピーしていた)、ビリー・アイドルの端っこ持ち上げが双璧で、続いてカジャ・グー・グーの二代目ヴォーカリスト、ニック・ベッグスの歯ぐき剥き出しウッキースタイルがそれに続くかというところであった。


それ以外に唇の形で個性を表現するには、ティナ・ターナーのように下に片っ方引っ張る(ビリー・アイドルの逆パターン)とか、ヘビメタ系アーティストのように、唇の両端を下げるとかいったものになってしまい、スマートとかカッコよさより、汗臭さを思わせるものしかなかったのだ。

 

しかし、ここでロディのやったこと。

 

それは、唇の端っこをちょっと横にずらして持ち上げるというスタイルだった。


そう、なんとも嘲笑的な表情なのである。これは、ロディにはぴったりはまった。
しかも、そうすることで口の開け方が完全ではなくなり、音をこもらせる効果まで出たのである。


あまりにもシニカルなその表情とこもった歌声は、ポップなメロディを置き去りにして、この曲の真意を伝えることに成功していた。

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