Won't You Hold My Hand Now/KING~天下を取れなかった王様
King- Won't You Hold My Hand Now
Love And Prideでシーンに登場した時は、ボーカルのポール・キングの奇妙な髪型に真っ赤なブーツなどなど、また変なのが出てきたなという印象だったが、とにかく雨後の筍のように新しい奴らが出てきては消えていく中、メジャーデビューが後発だった分、そのあたりは作られた面もあったのだろう。
KING LOVE & PRIDE - LIVE ULTRA RARE!!!!
二枚目のシングルのこの曲は、シンプルなスタジオ演奏に生のライブシーンの映像を加えて、とにかくかっこよく作られている。
そして曲も秀逸。
気怠い感じで始まり、Bメロで盛り上げた後、また気怠いトーンのサビに流れていくあたり、いかにも日本人好みではないかという気がするがどうだろう。
ただどうしてもスパンダーとABCの残り香みたいな縮小再生産感が否めなかったあたりが、本国以外で大ブレイクには至らなかった要因のような気がする。
そして最初に与えた変なのという部分も、もっと変な奴がどんどん出てくるに至って、それほど変でもなく、なんとなくすべてが中途半端に終わってしまったのがもったいない。
King Won't You Hold My Hand Now ( Heavy Times Mix Video Mix )
当時のロンドンクラブシーンに合わせて様々な曲がロングバージョンでリミックスされていたが、結局原曲を超えるものは少ないという持論の例外的に、この曲のリミックスは素晴らしいと思う。
ポルノグラフィティ 『サウダージ』("OPEN MUSIC CABINET"LIVE IN SAITAMA SUPER ARENA 2007 )
ちなみにこのイントロ、十五年近い時を経てこういう形で甦ってます。
それでもアメリカや日本でブレイクしないあたりが、当時いかに競争が厳しかったのかを実感させる。
そして、突き抜けられなくてもその名はキング。
なんだか物哀しくもいい味を出している。
クイーンもプリンスも天下を取ったが、キングが世界の頂点に立つことはなかったのだ。
Love & Pride - Body & Soul Mix
- アーティスト: King
- 出版社/メーカー: Cbs
- 発売日: 1984/01/01
- メディア: LP Record
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hold my hand
The Robot/KRAFTWERK~パラレルワールドに昇華した憧れの未来
今となっては、これがカッコよかったという事実に衝撃を受ける。
だがあの頃、僕たちの未来には、こんな21世紀が広がっているはずだった。
人間は機械の体と永遠の命を持ち、街には透明のチューブの中をエアで送られた自動車代わりの乗り物が高速で行きかう。
それが夢物語だと知るのには、ほんの数年の心の成長と、バブル経済の消費の中にそんな未来が何もいと気付くだけでよかった。
ホント面白いですよね、クラフトワーク。
DEVOみたいな洒落っ気がなく、本気でやってる分、今見ると笑えます。
Devo - [I Can't Get No] Satisfaction (Video)
そして81年のComputer Worldから、たった5年のブランクで、彼らは一気に音も世界観も時代遅れの遺物になってしまうのであった。
幼い頃に読んだ少年科学雑誌の中の世界がパラレルワールドでしかなく、現実に来なかったのと同じ、そんな空想の産物だったのだ。
今やコントになった世界観を、進歩した技術で再現し続けるその意地に、我々聴衆は愛情をもって接するのだ。
Kraftwerk - The Robots (live) [HD]
※この曲を含むThe Man Machineは1978年リリース。クラフトワークの1980年代のリリースは、次作にあたる81年のComputer Worldと86年のElectric Cafeである。
FOREVER YOUNG::人間解体(ザ・マン・マシーン) [ クラフトワーク ]
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FOREVER YOUNG::コンピューター・ワールド [ クラフトワーク ]
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Polkas on 45/WIRED AL YANKOVIC~ピエロが見せたシリアスな素顔
AL YANKOVICというと当然Eat Itを最初に思い出すだろう。
それ以外だとMADONNAのパロディや、シブいところではI Love Rockyroadあたりか。
わりとストレートにパロディするアーティストで、アメリカというお国柄なのか、大食いネタ、食べ物ネタが多い印象があるが、それだけで彼をシンプルに面白いことをやるおじさんと思ってはならない。
"Weird Al" Yankovic - Like A Surgeon
"Weird Al" Yankovic - I Love Rocky Road
それを教えてくれるのがこの一曲だ。
Weird Al - Polkas on 45 ( video medley )
ん……これ、一曲っていうのかな。
アコーディオン奏者としても知られる彼が、その得意の楽器を最大限活かすジャンルとしてポルカを選び、そして当時大ヒットしていたスターズ・オン・45プロジェクトがビッグバンドジャズをテーマにしたあのメドレーをパロディにして、ニューウェーブ系のロックを見事に換骨奪胎することで、しびれるような作品が誕生した。
それはまるで道化師が垣間見せたシリアスな表情のように印象に残る。
しかし彼はそのリアルも、陽気で明るいどこかおどけたアレンジの中に詰め込む、真のプロのピエロだった。
いろんな曲をポルカ調にアレンジしている彼だが、倍速早回しのようなアレンジが一番効いているのはメドレースタイルのこの曲だろう。
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Proudly Presents The Star Sisters/THE STAR SISTERS, STARS ON 45~記憶にないノスタルジー
オランダのヒットメドレープロジェクト、スターズ・オン・45の中でも1983年にシングルカットされたこの曲は、日本のMTVでもヘビーローテーションされた一曲。
Stars on 45 Proudly Presents The Star Sisters (Video)
ん……これ、一曲っていうのかな。
テクノだニューロマだ、ハードロックだヘビメタだとちょっと濃厚な曲、やりすぎた芝居したてのドラマチックPVがかかり続ける中、この曲はMTVの中の一服の清涼剤のような存在だったかもしれない。
ノスタルジーを感じさせるPVには、実際にその時代をリアルタイムで過ごしていない世代でも郷愁をそそられる、絶品。
それにしても舞台になっている大戦中のアメリカのイメージと、同時期の日本の違いはどうだろう。
閉鎖的な島国の国民が、アメリカが強くてかっこよかった時代に憧れを抱かなかったはずがない。
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ザ・ベリー・ベスト・オブ・スターズ・オン・45〜コンプリート・ヴァージョン〜 [ スターズ・オン・45 ]
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Don't Let Go/WANG CHUNG~ありふれたクリップの中のアツさ
このクリップを見る限り、ワン・チャンのその後の成功はとても想像できない。
曲自体は佳作ではあるが、特に何の変哲もない演奏シーンに、至ってありふれたメロドラマが挿入されているだけだからだ。
この当時、実によくあるパータンのビデオで、ビッグ・カントリーなんかはほぼ永遠にこのパータンを繰り返していたものだ。
しかし、ワン・チャンのこのクリップの中で、ひとつだけ、あまたのバンドたちとの違いがあった。
それは、真面目さだ。
クールな楽曲なのに、演奏している三人の姿が異様にアツイ。
この曲のサビを聞くと、今でもなぜか縦に小さなジャンプを繰り返したくなる。
そんな刷り込みが徐々に彼らをチャートに浸透させていったのかもしれない。
ありふれたクリップだったからこそ、そのアツさは際立って感じられる。
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Favourite Shirts (Boy Meets Girl)/HAIRCUT100~シャーツの謎
NICK脱退後、案の定覇気のないオッサン臭いバンドになって、あっさりと消えてしまったHAIRCUT100。
So Tiredの気怠い感じにはそれなりのよさはあったんだけど。
Haircut 100 - Favourite Shirts (Boy Meets Girl)
しかし王子様がいないうえに、この頃の明るくラテンなノリとはまったく別物になってしまってはファンがついてこれなかったのは無理もない。
ギターのカッティングにブラスがからむ、ぐいぐい来る感じは本当にカッコいい。ルックスどうこうではなく、この曲は名曲だ。
ボウリング場で撮影したPVも時代を感じさせて、なかなかいいものがある。
特に最後のシーンでメンバーが縦一列に並んで進みながら演奏するシーンは秀逸。
決して派手ではないパフォーマンスなのに、なんとかっこいいことか。
それにしてもこの曲の「好き好きシャーツ」という邦題の「ー」はなんなんでしょうか。
本来「好き好き」って部分も気になるところなんだけど、そこを吹き飛ばす勢いの意味不明。
ペリカン・ウエスト [ ヘアカット100 ]
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Johnny Come Home/FINE YOUNG CANNIBALS~フレットレスなアクション
ザ・ビーツ解散後、明るいヤツらはジェネラル・パブリックで一般大衆に明るい自分たちを見せていた。
そして、その影のように現れたのが、ローランド・ギフトをボーカルに据えたファイン・ヤング・カニバルズだった。
その後、全米ナンバーワンヒットを生むことになるとは思えない、アンダーグラウンドな雰囲気漂う名曲が「ジョニー・カム・ホーム」である。
Fine Young Cannibals - Johnny Come Home
曲のテーマやニュアンスはどこか、オリジナル・ブロンスキ・ビートの「スモールタウンボーイ」を髣髴とさせる哀愁が漂う。
そして、できあがったクリップは鳥肌モノ。
鳩胸にひし形のパクパク口で鯉のようにうたうローランドのインパクトに目が釘付けになる。
そして、クリップの終盤、三人が一斉に膝をつくシーンのアクションは、カッコよすぎ。
クリップに金をかけなくてもここまでシビれる映像は撮れるのだ。
ついでに言っておくと、フレットレスのベースがやたらとカッコよく見える。
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