Everything Counts/DEPECHE MODE~ポップなぼくらの大人への階段
Depeche Mode Everything Counts (Remastered Video) lyrics
デビューからのメインソングライターだった Vince Clarke が抜け Martin がソングライターとして再出発した DEPECHE MODE は、結果的にはその後より大きなグループへと成長をしていく。
おそらく Vince の軽いシンセポップの音で勝負を続け行けば、大方の類似のグループが短命に終わったのと同様、これほどの活躍はなかったのではないかと思う。
DEPECHE MODE - Dreaming Of Me (Music Video) HD
Martin が主導権を握ってからの、鉄骨をたたくような骨のあるロックな反面を持ったテクノポップは、ほかに真似るものを寄せ付けない個性があり、そして一度聴くとクセになるような中毒性があった。
Get The Balance Right で顔を覗かせたその要素は、この Everything Counts で一気に花開いたのだ。
Get the Balance Right ( DEPECHE MODE ) 1983
明るい陽射しと青い空の印象が強いPVで、ボーカルの David が映される舞台はどこか閉塞的な異次元のような空間で、開放的なオフショットとは区分された、歌うという行為の苦しみを表現しているようにさえ感じさせる。
David の野太いヴォーカルは、空気のように軽い Vince の音より、重厚なビートの上に構築される Martin の音によって、より輝いたと思うがどうだろうか。
その低音に絡む Martin のハイトーンなコーラスと掛け合いはこのあと、さらに大きなヒット曲となる People Are People で昇華することになる。
そして Vince 時代の夢見がちな恋というテーマは姿を消して、より重くより深みを増す曲のテーマを歌い上げる、太く低い声の重さをやわらかく透き通ったコーラスが絶妙のマリアージュを持って、ポップソングに育てていくのだ。
それにしてもこの時期の Alan のなんと美しいことか。
そして Martin のハードコアなボンデージ趣味がまだここではレザー生地ではないソフトなタンクトップという形で、ふわりと姿を見せているのも見逃せない。
ポップなぼくらのの大人への階段はここにあったのだ。
あと、この曲の間奏で Martin が演奏しているピアニカを見た時は驚いたな。
子どもの頃、ダサい楽器としか思っていなかった鍵盤ハーモニカが、音という観点から見ると、こんなにいい音を奏でるのだ。
先入観ほど怖いものはない。
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