THIS IS VIDEO CLASH "RETURNS"--80年代洋楽PVの記録--

PVをメインに取り上げた80年代洋楽の記録です。2000年頃のアーカイヴをtumblrに移植したものをさらにこちらへ。新作も加えていきます。

2017-01-01から1年間の記事一覧

Big In Japan/ALPHAVILLE~戦後ヨーロッパから見た黄金の異国

そういえばバンドエイドがチャリテイの域を超えて、世界のひとつのムーヴメントとなったとき、ドイツでも類似のチャリティグループが誕生した。 BAND FUR AFRICA の Nackt im Wind だ。 Band für Afrika bei Form1 - Nackt im Wind u.a. mit Nena 1985 ドイ…

Because Of Love/JULLAN~耽美派の不安定な逆輸入

番外編。 80年代ニューロマンティック、エレポの端っこに、イギリス逆輸入の国産デュオがいた。 JULLAN - BECAUSE OF LOVE (LONG & ENGLISH VERSION -BECAUSE MIX !-) メロディー・メーカー誌へ送ったデモ・テープが認められ、その噂が広まって日本でもデビ…

Love's Great Adventure/ULTRAVOX~哀愁を隠したアドベンチャー

ミッジをフロントマンとして迎えたウルトラヴォックスのイメージは、哀愁や翳りという言葉をひとつのパブリックイメージとして表現できるだろう。 Ultravox - Hymn (EMI) そんな中、ベストアルバムのボーナストラックとしてリリースされ、シングルにもなった…

Cool It Now/NEW EDITION~スーパーボーイズのシュールなヴォーカル

この曲、たわいもないポップスに聴こえるが、途中のラップパートなんか、素晴らしいクオリティだと思う。 New Edition - Cool It Now PVもいかにもな青春ぽくて好印象。ストリートバスケのシーンなんかもいかにもアメリカン・ダウンタウンって感じがすごくい…

Are We Ourselves/FIXX, THE~研ぎ澄まされた二分間

それにしてもこの頃のフィクスには無駄がない。 前作で全米進出に成功した彼らのサードアルバム「ファントムズ」からの最初のシングルカットがこの曲なわけだが、不愛想なまでに余計なものがそぎ落とされたPVに作られている。 MTV The Fixx Sneak Preview Vi…

Seven Seas/ECHO AND THE BUNNYMEN~仕方ない最大限の妥協

バニーメンはPVにそれほど力を入れたグループではなく、世間の風潮に合わせてとりあえずいわれたから作っといたみたいなものが多い、そういう価値観のグループだろう。コテコテに芝居しまくったスパンダーとよく比較されていたのがなんだか懐かしい。 Echo a…

The Model/BIG BLACK~イキまくる外壁破壊ツール

1980年代に入って、クラフトワークをカッコイイと公言しにくくなってきた頃、少し間をおいてカバー曲というジャンルで、クラフトワークの遺産からふたつの星が輝いた。 Afrika Bambaataa & Soul Sonic Force - Planet Rock [Rockamerica] (1982) ひとつは82…

DAVID AUSTIN デヴィッド・オースティン

「Love While You Can」には、恋してステップ! とかホントもうどうしていいかかわからなくなるような邦題がついてるけど、いい曲だ。 David Austin - Love While You Can 短い演奏時間の中でぎゅっと凝縮したキレイなメロディとここ一番のファルセット。モ…

VISAGE ヴィサージ

フランキーがトレヴァー・ホーンの玩具だったように、スティーヴ・ストレンジはミッジ・ユーロの玩具だった。 Visage - Visage しかし、この玩具には最初から意志があった。それは、スノビズムという名の意志だったのだ。 Visage - Fade To Grey ヴィサージ…

Won't You Hold My Hand Now/KING~天下を取れなかった王様

King- Won't You Hold My Hand Now Love And Prideでシーンに登場した時は、ボーカルのポール・キングの奇妙な髪型に真っ赤なブーツなどなど、また変なのが出てきたなという印象だったが、とにかく雨後の筍のように新しい奴らが出てきては消えていく中、メジ…

The Robot/KRAFTWERK~パラレルワールドに昇華した憧れの未来

今となっては、これがカッコよかったという事実に衝撃を受ける。 Kraftwerk - The Robots だがあの頃、僕たちの未来には、こんな21世紀が広がっているはずだった。 人間は機械の体と永遠の命を持ち、街には透明のチューブの中をエアで送られた自動車代わりの…

Polkas on 45/WIRED AL YANKOVIC~ピエロが見せたシリアスな素顔

AL YANKOVICというと当然Eat Itを最初に思い出すだろう。 "Weird Al" Yankovic - Eat It それ以外だとMADONNAのパロディや、シブいところではI Love Rockyroadあたりか。 わりとストレートにパロディするアーティストで、アメリカというお国柄なのか、大食い…

Proudly Presents The Star Sisters/THE STAR SISTERS, STARS ON 45~記憶にないノスタルジー

オランダのヒットメドレープロジェクト、スターズ・オン・45の中でも1983年にシングルカットされたこの曲は、日本のMTVでもヘビーローテーションされた一曲。 Stars on 45 Proudly Presents The Star Sisters (Video) ん……これ、一曲っていうのかな。 テクノ…

Don't Let Go/WANG CHUNG~ありふれたクリップの中のアツさ

このクリップを見る限り、ワン・チャンのその後の成功はとても想像できない。 Wang Chung Don't Let Go 曲自体は佳作ではあるが、特に何の変哲もない演奏シーンに、至ってありふれたメロドラマが挿入されているだけだからだ。この当時、実によくあるパータン…

Favourite Shirts (Boy Meets Girl)/HAIRCUT100~シャーツの謎

NICK脱退後、案の定覇気のないオッサン臭いバンドになって、あっさりと消えてしまったHAIRCUT100。 So Tiredの気怠い感じにはそれなりのよさはあったんだけど。 Haircut 100 - Favourite Shirts (Boy Meets Girl) しかし王子様がいないうえに、この頃の明る…

Johnny Come Home/FINE YOUNG CANNIBALS~フレットレスなアクション

ザ・ビーツ解散後、明るいヤツらはジェネラル・パブリックで一般大衆に明るい自分たちを見せていた。 そして、その影のように現れたのが、ローランド・ギフトをボーカルに据えたファイン・ヤング・カニバルズだった。 その後、全米ナンバーワンヒットを生む…

Girl in Trouble/ROMEO VOID~二人のヒロイン

この曲のクリップの制作を依頼されたらどうするだろうか。 そんな監督の苦悩と工夫が、このクリップからは溢れ出してくる。 Romeo Void- Girl in Trouble (is a temporary thing) Mix 曲を聞かされた時点で、このなんともけだるくメロディアスな一曲は、監督…

Break My Stride/MATTHEW WILDER~想い出のフワッフワ

MTV全盛のあの時代に、どんなヒットチャート番組でもアルバムのジャケットが映し出されていて不思議でしようがなかったけど、どうやらPV自体制作されていなかったのだと気づいたのはインターネット時代になってからだった。 Matthew Wilder - Break My Strid…

You Can't Get What You Want/JOE JACKSON~音は後から、でも傑作のライヴクリップ

ジョー・ジャクソンの音楽はクリップを必要としない。是か否か。 Joe Jackson - You Can't Get What You Want (Till You Know What You Want) たしかに、彼のルックスは当時のクリップ全盛期にわらわらと湧いて出たミュージシャン群とは違い、そこに付加価値…

Just Got Lucky/JO BOXERS~本当の「音楽」は犬にも幸運を運ぶ

音楽は楽しい。 そして、その楽しさは「音」にとどまらず、ファッション、アクション、シチュエーション、音楽を「演る」すべてに表れる。 Jo Boxers - Just Got Lucky それが、ジョー・ボクサーズのこのクリップ一本に集約された、音楽の素晴らしさだ。 指…

Planet Earth/DURAN DURAN~ちょっとだけ特別なヒラヒラ

デュラン・デュランといえば、当時の洋楽雑誌でいつも比較されていた相手がスパンダー・バレエだった、といって今信じてもらえるだろうか。 洋楽ブームが最盛期を迎えたころ、デュランはUNION OF THE SNAKEでスパンダーはGOLDだったのだから、「え? 比較対…

80年代洋楽カラオケについての考察

これだけ80年代洋楽をカラオケで歌える時代がくるとは。 歌い続けてみると(続けてるってところが無駄にポイント)、80年代洋楽カラオケで失敗する「あるある」みたいなネタが出来てくるな……。 せっかくなんで洗い出してみよう! (何のために?) 1. キーが…

Eye Talk/FASHION~場末の踊り子の場末の恋人

安っぽい場末のディスコに、安っぽい役者、安っぽいドラマ。 Fashion - Eye Talk (Alan Darby on vocals) そんなチープさの中に、このクリップの完成度の高さがある。 ハイトーンなヴォーカルだが、この手の声によくある繊細さや痛みを伝える種類の力を持っ…

Hands Tied/SCANDAL~田舎のお姉ちゃん、都会の女になる!

パティ・スマイスは田舎のお姉ちゃんだった。 Scandal, Patty Smyth - Goodbye To You そんな彼女の心と自意識を都会に連れ出したのは、たまたま点けたMTVから流れる、クリップの中のシンディ・ローパーの姿だった。 Cyndi Lauper - Girls Just Want To Have…

Poison Arrow/ABC~本人だけが気付いていなかったイロモノの資質

ポイズン・アロウは名曲だ。 ABC - Poison Arrow この曲は間奏の中途半端なセリフを除けば、ABC中で、もっともシリアスでドラマティックな名曲である。そのドラマテイックさは、同じメロディをバラードにアレンジした、「テーマ・オブ・マントラップ」を聴け…

Shout/TEARS FOR FEARS~ガラスの少年たちの叫び声

叫ベ。叫べ。すべて吐き出させてあげる。 そんなものなくたって僕にはできる。 Tears for Fears - Shout (HD) おいで。君に言ってるんだ。おいで この言葉は誰に話しかけたものだろう。それは自ら、そして彼らの「チェンジ」「ペイル・シェルター」を愛した…

I.O.U./Freeez~マシンメイド・ミュージック・ウィズ・マン・マシーン

Freeez - IOU このクリップ全編を彩る、今となっては古びたテクノ系ダンス。 それがすべての魅力だろう。 そして、その古さはブレイクダンスのヒットスタイルのウェイヴだけでなく、当時はストリートに持ち出された巨大なラジカセにも見られる。 ヴォーカル…

So Tired/HAIRCUT100~素直な表現の功罪

バンドのフロントマンが脱退するということは、一大事である。リマールが抜けたカジャ・グー・グーは、よりテクニカルな方向にレベルアップしたが、「トゥー・シャイ」を愛したファン層はそれについていくことが出来なかった。 ヘアカット100が失ったのは、…

(Feels Like) Heaven/FICTION FACTRY~ストレートでチープな天国

タイトルの「ヘヴン」からあまりに簡単に連想できる天使。 天使のような少女をモチーフに、教会で撮影した安易でチープ、しかしながら曲の雰囲気を見事にビジュアルに変えた一本。 Fiction Factory - (Feels Like) Heaven ところどころ、スイングするような…

Lies/THOMPSON TWINS~ドグラ・マグラな手錠

シュール、不条理、吹き荒れるナンセンスの嵐。 Thompson Twins - Lies 画面下でリズムをとるように動く三人の足の視界に、メンバーの演じる不思議な人物が現れては消え、消えては現れする。 この足は誰なのか。なぜ三人並んで横たわっているのか。 エンディ…