THIS IS VIDEO CLASH "RETURNS"--80年代洋楽PVの記録--

PVをメインに取り上げた80年代洋楽の記録です。2000年頃のアーカイヴをtumblrに移植したものをさらにこちらへ。新作も加えていきます。

Sugar Don't Bite/SAM HARRIS~アーティストとアイドルの狭間に揺れた時代の徒花

全身にゴールドディスクをぶら下げたものすごい衣装のジャケットが記憶に残っていたけど、PVでは着ていなかったようだ。記憶なんてあいまいなもんだな。 Sam Harris - Sugar Don't Bite (1984) 結局プロフィールもイマイチ記憶に残ってないし、アイドルスタ…

Irgendwie Irgendwo Irgendwann/NENA~消費されたボーカリスト(それは美しすぎたから)

テレビの前の日本の青少年のド肝を抜き、一部のマニアを狂喜乱舞させた腋毛騒動も落ち着いたころ、ひっそりとリリースされた、ネーナ・ケルナーをフロントに据えた、バンドとしてのNENAの佳作。 Nena - Irgendwie Irgendwo Irgendwann (Original 1984) メロ…

Borderline/MADONNA~僕たちのマドンナ

この曲のイントロと、それに合わせたPVのスローモーションのストリートダンスのシーンはとても美しい。 Madonna - Borderline マドンナがまだサイボーグになる前の話だ。ライオンのような髪型、ルーズなファッション、そしてそれを真似るティーンエイジャー…

Soul Deep/THE COUCIL COLLECTIVE~怒れるオサレ系

The Style Council - Soul Deep [The Council Collective] (The Tube 1984) Paul Wellerという男は、なんとも掴みどころがないように見える。 Jam - In the City JAMで怒れる若者の想いを代弁して、ひとりのカリスマになったと思いきや、絶頂期に解散。 Paul…

House Arrest/KRUSH~クラッシュはクラッシュでも

Krush - House Arrest 「これがクラッシュ!?」「ミックの呪いか?」 The Clash - This Is Radio Clash (Bond's, Times Square, NY 9th June 1981) 2 of 3 当時、ヒットしているという情報を誌面で得て、あわてて探して手に入れた12インチ版には当然英語表…

Fire In The City/ELVIS BROTHERS, THE~そそられる音、そそられるビジュアル

リアルタイムでこの曲のPVがMTVで流れたのを見たのは、二度ほどだったが、当時毎週番組を録画していた自分にはそれで十分といえば十分だった。 The Elvis Brothers - Fire In The City (1983) とはいえそもそも当時はプロフィールもよくわからないグループの…

The Lucky One/LAURA Branigan~そのとき、ローラは

ちょうどタイミング的にローラ・ブラニガンと重なって、マドンナ、シンディ・ローパーというヒロインがいた。 Madonna - Material Girl (Official Video) Cyndi Lauper - Girls Just Want To Have Fun (Official Video) ネオ・モンロー、現代のセックス・シ…

Shouldn't Have To Be Like That/FRA LIPPO LIPPI~遺伝子の核に棲み付いた私たちの好きなメロディ

Fra Lippo Lippi - Shouldn't Have To Be Like That.wmv 80年代当時の洋楽のうち、大物アーティストのものではないスマッシュヒット曲が、日本のマーケットで受け入れられた例には共通点があるのではないかと思っている。 Hubert Kah - Angel 07 (Video 1985…

Voices/PASSION PUPPETS~わずかに足りなかった何か

なんだかVo.のレイの動きがライク・ダストとまったくおなじ。両手を組む、指でおいでおいで、片膝立てて座る。 Passion Puppets - 'Voices' なかなか美しい動きなんだけど、ライク・ダストのPVの振り付けではなくて、レイのオリジナルアクションだとしたらそ…

Cruel Summer/BANANARAMA~隣の姉ちゃんはもうすぐ街へ行く

バナナラマは隣のお姉ちゃんだった。 The Fun Boy Three & Bananarama - Ain't What You Do (TOTP 25-Feb-1982) テリー・ホールのオマケとしてファン・ボーイ3と一緒に演ってる頃の彼女たちは、なんだかよくわからないまま、たまたまテレビに出てしまった近…

Give/MISSING PERSONS~バキバキ超絶テクの変態たち

ド派手なメイク、奇妙な近未来感のあるシェイプの楽器に、フワフワした浮遊感のある曲、そしてバカテク。 Missing Persons - Give いったいなんだこりゃ、という感じのビジュアルだが、ドラムのテリー・ボジオはフランク・ザッパのバンドにいたという経歴を…

Beyond The Pale/PASSION PUPPETS~わが青春の胸キュン

パッション・パペッツが唯一残したアルバムのタイトルにもなっていたナンバーがこれ。 Passion Puppets - Beyond The Pale 青くさい彼らのちょっと背中がむずがゆくなるような、それでいて胸にキュンとくるような魅力の詰まった一曲だ。 国内盤の邦題が「青…

Dance Hall Days/WANG CHUNG~ふわふわしたファンタジー

WANG CHUNGを初めて見たのは、DON'T LET GOのPVだった。 Wang Chung Don't Let Go クールな印象で、二の線をいきながらもどこかあか抜けない感じも受けたし、ニューウェーブの波に乗ったその他大勢という印象が強かったように思う。 Wang Chung - Dance Hall…

Restless Heart/JOHN WAITE~美しきロードムービー

地味な感じの曲とPVだったにも関わらず、Missing Youの突然のヒットでソロとして復活したジョン・ウエイト。 John Waite - Missing You 都会を舞台にした大人のラブソングという雰囲気を醸し出していた大ヒット曲とはまるで趣の異なるこの曲は、たいしたヒッ…

Dream Of The West/YIP YIP COYOTE~ギミック満載ウエスタン

Go-Go'sのTalk Showを買ったら、アルバムの中に封入されていたレーベルの所属アーティストの紹介パンフみたい小冊子に、奇妙なバンド名を見つけた。 The Go-Go's - Head Over Heels それがYIP YIP COYOTEだった。 PVを見てもわかる通り、奇妙なウエスタン調…

Nobody's Diary/YAZOO~小じゃれた音に乗り損ねたアクションのないアクション

男女ペアという編成で、テクノ畑から出てきたせいか、ユーリズミックスとの比較がよく論じられたヤズー。 Yazoo Nobody's Diary 音楽的な主導権を握る男性と、ソウルフルな女性ヴォーカルというところまでかぶっていたから、その比較は見当違いではない。 Eu…

Prisoner of Love/SPEAR OF DESTINY~皮肉な運命の矢

DURAN DURANやSPANDAU BALLETが着飾って、楽器も持たずにフィルムの中で壮大なハリウッドごっこをやっていた時期に、この潔さ。 当時のMTVの中でも異色すぎるPVに、画面の前でひっくり返りそうになった記憶がよみがえる。 Spear Of Destiny-Prisoner of Love…

Wonderland/XTC~深窓の令息、不思議の国に姿をあらわす

アンディ・パートリッジは自分のむさくるしい姿をどう思っていただろう。 XTC - Wonderland 適度にひねくれていながら、小難しくならないポップさを併せ持った、実に都会的なセンスの持ち主でありながら、そのルックスはあまりにむさくるしい。 センスとルッ…

One Lonely Night/REO SPEEDWAGON~どんでん返し不要の人情コント

郷愁をそそるメロディに載せて、切ない喜劇に仕立てられた秀作PV。 reo speedwagon - one lonely night 中世の騎士が、魔法使いの力で現代に送り込まれてドタバタするというタイムスリップ物のストーリーは、古今東西数多あれど、四分ほどの時間の中で、オチ…

Like Dust/PASSION PUPPETS~忘れられた美しいアクション

パッション・パペッツといっても、もう知る人も少ないだろう。 Passion Puppets - Like Dust 情熱の操り人形、という名のこのバンド、Like Dustのロマンティックでどこかノスタルジックなメロディは素晴らしい。 PVは西部劇を思わせるドラマ仕立てのパートと…

Big In Japan/ALPHAVILLE~戦後ヨーロッパから見た黄金の異国

そういえばバンドエイドがチャリテイの域を超えて、世界のひとつのムーヴメントとなったとき、ドイツでも類似のチャリティグループが誕生した。 BAND FUR AFRICA の Nackt im Wind だ。 Band für Afrika bei Form1 - Nackt im Wind u.a. mit Nena 1985 ドイ…

Because Of Love/JULLAN~耽美派の不安定な逆輸入

番外編。 80年代ニューロマンティック、エレポの端っこに、イギリス逆輸入の国産デュオがいた。 JULLAN - BECAUSE OF LOVE (LONG & ENGLISH VERSION -BECAUSE MIX !-) メロディー・メーカー誌へ送ったデモ・テープが認められ、その噂が広まって日本でもデビ…

Love's Great Adventure/ULTRAVOX~哀愁を隠したアドベンチャー

ミッジをフロントマンとして迎えたウルトラヴォックスのイメージは、哀愁や翳りという言葉をひとつのパブリックイメージとして表現できるだろう。 Ultravox - Hymn (EMI) そんな中、ベストアルバムのボーナストラックとしてリリースされ、シングルにもなった…

Cool It Now/NEW EDITION~スーパーボーイズのシュールなヴォーカル

この曲、たわいもないポップスに聴こえるが、途中のラップパートなんか、素晴らしいクオリティだと思う。 New Edition - Cool It Now PVもいかにもな青春ぽくて好印象。ストリートバスケのシーンなんかもいかにもアメリカン・ダウンタウンって感じがすごくい…

Are We Ourselves/FIXX, THE~研ぎ澄まされた二分間

それにしてもこの頃のフィクスには無駄がない。 前作で全米進出に成功した彼らのサードアルバム「ファントムズ」からの最初のシングルカットがこの曲なわけだが、不愛想なまでに余計なものがそぎ落とされたPVに作られている。 MTV The Fixx Sneak Preview Vi…

Seven Seas/ECHO AND THE BUNNYMEN~仕方ない最大限の妥協

バニーメンはPVにそれほど力を入れたグループではなく、世間の風潮に合わせてとりあえずいわれたから作っといたみたいなものが多い、そういう価値観のグループだろう。コテコテに芝居しまくったスパンダーとよく比較されていたのがなんだか懐かしい。 Echo a…

The Model/BIG BLACK~イキまくる外壁破壊ツール

1980年代に入って、クラフトワークをカッコイイと公言しにくくなってきた頃、少し間をおいてカバー曲というジャンルで、クラフトワークの遺産からふたつの星が輝いた。 Afrika Bambaataa & Soul Sonic Force - Planet Rock [Rockamerica] (1982) ひとつは82…

DAVID AUSTIN デヴィッド・オースティン

「Love While You Can」には、恋してステップ! とかホントもうどうしていいかかわからなくなるような邦題がついてるけど、いい曲だ。 David Austin - Love While You Can 短い演奏時間の中でぎゅっと凝縮したキレイなメロディとここ一番のファルセット。モ…

VISAGE ヴィサージ

フランキーがトレヴァー・ホーンの玩具だったように、スティーヴ・ストレンジはミッジ・ユーロの玩具だった。 Visage - Visage しかし、この玩具には最初から意志があった。それは、スノビズムという名の意志だったのだ。 Visage - Fade To Grey ヴィサージ…

Won't You Hold My Hand Now/KING~天下を取れなかった王様

King- Won't You Hold My Hand Now Love And Prideでシーンに登場した時は、ボーカルのポール・キングの奇妙な髪型に真っ赤なブーツなどなど、また変なのが出てきたなという印象だったが、とにかく雨後の筍のように新しい奴らが出てきては消えていく中、メジ…